2000 Fiscal Year Annual Research Report
リステリアの病原性発現におけるDnaKシャペロンの役割
Project/Area Number |
12770139
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
花輪 智子 杏林大学, 医学部, 助手 (80255405)
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Keywords | DnaK / シャペロン / リステリア / 病原性 / 転写 / ImaA / 鞭毛 |
Research Abstract |
細菌が感染を成立し,病原性を発現するまでにはいくつかの段階があり,病原遺伝子の発現がその段階ごとに制御されることが考えられる。我々はこれまでにグラム陽性桿菌であるListeria monocytogenesのストレス蛋白質DnaKの遺伝子をクローニングし,その変異株を作成した。性状を解析しところ,dnaK変異によってL.monocytogenesの鞭毛合成量が低下することが明らかとなった。DnaKはストレス存在下のみならず、ストレス非存在下においても合成される主要なストレス蛋白質の一つである。DnaKはシャペロンとしての機能をもち,GrpE,DnaJと共に,熱などのストレスによる凝集阻止,および再生さらに新生ポリペプチドの正常な折り畳みなどを担っていることが知られている。ストレス蛋白質のもつシャペロン機能はきわめて多彩であり,大腸菌においては熱ショック遺伝子のプロモーターを認識するRNAポリメラーゼのσサブユニットであるsigma32のanti-sigma factorとして働き,熱ショック遺伝子を負に制御していることが知られている。 本研究においてL.monocytogenesの病原性に関与する遺伝子の発現にDnaKが関与している可能性を検討する目的で,dnaK変異株における種々の病原性に関与する遺伝子の発現を野生株と比較した。その結果,鞭毛を構成する蛋白質であるflagellinの遺伝子flaAおよび遅延型過敏症を惹起する因子であるLmaAの遺伝子ImaAの発現が顕著に低下していることが明らかとなった。これらの遺伝子は25度付近で最も多く発現し,37度では殆ど検出されないという共通の転写制御様式をもつ。これらの事実から,現在,温度依存の発現におけるDnaKの役割を検討中である。
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Research Products
(1 results)