2000 Fiscal Year Annual Research Report
バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌特異的表層タンパク質の感染症治療への応用
Project/Area Number |
12770141
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
馬場 理 順天堂大学, 医学部, 助手 (30317458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 啓一 順天堂大学, 医学部, 教授 (10173262)
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Keywords | バンコマイシン / 黄色ブドウ球菌 / 組織接着 / フィブロネクチン |
Research Abstract |
本研究ではバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)のみに特異的に高発現しており、研究申請者によって発見・同定された表層タンパク質p60K及びp85kに着目し、これらの遺伝子構造の解析・細胞壁受容体の探索やコンポーネントワクチンの作成等を通じて、治療への応用を試みるものである。 初年度(13年)は、p60Kタンパク質の遺伝子構造についての詳細な解析を行った。その結果、p60kは他菌種にも広く存在するoligoendopeptidase/collagenaseの相同体であることが判明し、組織接着及び破壊に関与している可能性が示唆された。さらに、そのアミノ末端側は他菌種に相同性のないVRSAに特異的部位であり、ヒト毛嚢細胞のtrichohyalin、actininなど、生体繊維高分子の一部分に相同性があることが明らかとなった。過去におけるヒトからVRSAへの、遺伝情報の水平移動を示唆するものであり、このヒト相同部位が、人間の免疫系から逃れる役割を担っている可能性も示唆される。 黄色ブドウ球菌p60Kタンパク質の、組織接着への関与を評価するため、この遺伝子をプラスミド上にクローン化したものを、薬剤感受性黄色ブドウ球菌へ導入し発現させたところ、ヒト細胞外マトリックスタンパク質の一つであるFibronectinへの結合能が上昇した。これは、感染の第一段階である細胞への接着を、p60Kタンパク質が促進することを示す新たな知見である。 上記の結果については、論文の投稿を準備中である。また、第73回日本細菌学会(5/29-5/31/2000、予稿集p232)において口頭発表を行った。
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