2001 Fiscal Year Annual Research Report
マラセチア症(癜風、脂漏性皮膚炎、等)起因菌の分子生物学的解析による病態の解明
Project/Area Number |
12770142
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
槇村 浩一 帝京大学, 医学部, 講師 (00266347)
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Keywords | Malassezia / マラセチア属酵母 / ITS1 / 塩基配列 / データベース / 同定 / PCR / 分子生物学的菌種同定 |
Research Abstract |
本研究は、マラセチア関連疾患患者より分離された本属酵母の菌種・菌株レベルの同定・識別を行うことにより、各疾患の起因菌種・菌株を分子生物学的に検証し、その病態解析を可能にすると共に、病原真菌の分子生物学的菌種同定技術の基盤となるシステム(ひな型)を構築ことを目的とするものであり、研究期間を通して以下の成果が得られた。 1)ITS1-DNA塩基配列データベースに基づいたマラセチア属酵母における菌種・菌株の詳細な同定・解析法(塩基配列法)の開発:研究代表者が開発した、マラセチア属酵母の同定と型別が可能なデータベースの塩基配列よりアライメントを構築し、菌種・菌株の同定・識別に必要な特異的塩基配列を抽出・リストし、被検菌株より得られたITS1-DNA塩基配列に対して、特異的塩基配列を検索することによって詳細・確実な同定・識別が可能となる解析法(塩基配列法)を開発した。この成果によって、表現形による同定が困難なマラセチア属菌株の塩基配列による確実な同定が可能となった。 2)塩基配列の解析によるマラセチア属酵母における菌種・菌株の迅速同定法(迅速法)の開発:より多量の臨床分離株に対する迅速・簡便な菌種・菌株の同定法として、1)で得られた菌種・菌株に特異的な塩基配列を用いたnested PCR法による解析法(迅速法)を開発した。この成果によって、臨床分離株のみならず皮膚落屑等の臨床検体から直接的に、感染または寄生している本属菌種の確実かつ迅速な同定が可能となった。 3)上記の研究によって確立した検査法を健常人および関連疾患罹患者検体に適用することによって、本属菌種と各種病態および健常人フローラ構成に関する研究が可能となり、臨床例への適用結果の報告ができた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Maeda M, Makimura KC, Yamaguchi: "Pityriasis versicolor rubra"Eur J Dermatol. 12(2). 160-164 (2002)
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[Publications] 村上有沙, 槙村浩一, 林谷陽子, 田尻義人, 内田勝久, 山口英世: "特異的PCRプライマーを用いたMalassezia属菌腫の迅速同定システム"日本医真菌学会雑誌. 42(4). 211-213 (2001)
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[Publications] 菊池賢, 藤代佳子, 戸塚恭一, 瀬下明良, 亀岡信吾, 槙村浩一, 山口英世: "Malassezia sympodialisによる中心静脈カテーテル感染症の1例"日本医真菌学会雑誌. 42(4). 220-222 (2001)