2000 Fiscal Year Annual Research Report
腸管出血性大腸菌O157のLEE遺伝子群の発現調節機構
Project/Area Number |
12770148
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
伊豫田 淳 国立感染症研究所, 細菌部, 研究員 (70300928)
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Keywords | 腸管出血性大腸菌 / LEE領域 / 発現調節 |
Research Abstract |
腸管出血性大腸菌O157の病原性発動に必要な遺伝子群の一部は、染色体上の特定の領域であるLEE:Locus for Enterocyte Effacementにコードされている。LEE遺伝子群の発現調節機構を解析する目的で、宿主への作用因子の一つをコードしているespB遺伝子とラクトースオペロンの転写融合体を作製し、espBの発現に変化を与えるような腸管出血性大腸菌O157のクローンの単離を試みた。LEE遺伝子群の転写活性化因子としてすでに知られているler遺伝子の欠失突然変異体を単離し、そのゲノムDNAを適当な制限酵素で切断後、ベクター上にランダムにクローニングした。こうして作製したO157のゲノムライブラリーから、espB遺伝子の発現に変化を与えるようなクローンをβ-ガラクトシダーゼの活性を指標に選択した。数万クローンをスクリーニングした結果、espBの発現を活性化または抑制するクローンがいくつか単離された。現在、これらのクローンの塩基配列を決定しつつあるが、これまでに、espオペロンの転写を担うシグマ因子の一つであるRpoSの活性を調節すると考えられているいくつかのクローンが得られた他、機能の詳細あるいはその作用機構が不明ないくつかの転写制御因子を含むクローンが得られている。espオペロンの転写発現は宿主腸管内の種々の環境条件下で誘導されることが知られているが、今回単離されたespBの発現を活性化するクローンの中には、このような条件には非依存的にLEE遺伝子群の発現を上昇させるものがあり、腸管内でのLEE遺伝子群の発現調節機構に重要な役割を担っている可能性が示唆される。今後、これらのクローンの突然変異体を単離し、その効果を解析すると共に、他のLEE遺伝子群の発現調節機構についてもラクトースオペロンとの融合遺伝子の転写活性測定によって解析する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 伊豫田淳,渡辺治雄: "志賀毒素産生性(腸管出血性)大腸菌"治療学. 34・7. 27-32 (2000)
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[Publications] Iyoda,S.,Tamura,K.,Itoh,K.,Izumiya,H.,Ueno,N., et al.: "Inducible stx2 phages are lysogenized in the enteroaggregative and other phenotypic Escherichia coli 086 : HNM isolated from patients."FEMS Microbiology letters. 191・1. 7-10 (2000)
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[Publications] Iyoda,S.,Kamidoi,T.,Hirose,K.,Kutsukake,K.and Watanabe,H.: "A flagellar gene fliZ regulates the expression of invasion gene and virulence phenotype in Salmonella enterica serovar Typhimurium."Microbial Pathogenesis. 30・2. 81-90 (2001)