2000 Fiscal Year Annual Research Report
有機スズ化合物の神経毒性及び免疫毒性に関する実験的研究
Project/Area Number |
12770177
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
角田 正史 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (00271221)
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Keywords | トリブチルスズ / IL-1β / TNFα / IL-6 / ELISA / RT-PCR / 脾臓細胞 |
Research Abstract |
【目的】 トリブチルスズ(TBT)の免疫毒性について、脾臓マクロファージのTNFα,IL-1β,IL-6産生に対する影響、脾リンパ球のIFNγ産生に対する影響を指標に、亜急性経口投与の評価を試みた。 【方法】マウス30匹に対し1群6匹とし塩化TBTをそれぞれ0、1、5、25、125ppm含む試料を自由に4週間摂取させた。投与後、肝臓、脾臓を摘出、脾臓については処理後、分離細胞を培養し、プレートに付着した細胞をマクロファージとし、上清中の浮遊細胞はリンパ球とした。マクロファージをLPSで、リンパ球についてはPHAにて活性化しRNAを抽出し上清を保存した。ELISAにてマクロファージ上清のTNFα,IL-1β,IL-6量、リンパ球上清のIFNγを定量した。またRT-PCR法を用い、マクロファージのTNFα,IL-1β,IL-6、リンパ球のIFNγのmRNA発現を検討した。 【結果】体重は125ppm投与群に一時的減少が見られた。肝臓の相対重量は125ppm投与群で、対照群、1ppm、5ppm投与群に比べ有意に高かった。脾臓重量については用量依存性の低下が見られた。mRNAの発現については全てのサイトカインに有意差はなかった。マクロファージ上清中のIL-1β濃度については、TBT暴露群全てで対照群に比べ有意に低下した。TNFαでは1ppm及び25ppm投与群の平均値が対照に比べ有意に低く、1ppm群は125ppm群に対しても有意な低値を示した。IL-6濃度では1ppm及び5ppm投与群の平均値が対照、125ppm群に比べ有意に低かった。IFNγは対照群で高値であった。 【考察】TBT化合物の脾マクロファージのサイトカイン産生に対する影響は比較的低濃度で起こるが、用量依存性の反応ではなく。また、抑制のメカニズムは転写より後の段階で起こる可能性がある。
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