2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12770180
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
渡邊 正知 獨協医科大学, 医学部, 助手 (30306203)
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Keywords | 中枢神経系 / 脳 / 外因性内分泌攪乱化学物質 / トリフェニル錫 / 有機錫化合物 / プロテオーム解析 / 二次元電気泳動 / Cajal-Retzius cells |
Research Abstract |
外因性内分泌攪乱化学物質(内分泌攪乱物質)は、非常に低濃度で生殖機能障害を誘発することが明らかとなり、近年注目を集めている。しかし、高等動物の象徴ともいえる中枢神経系への影響に関する知見はほとんどない。そこで、本研究では中枢神経系に対する未知の影響を明らかにし、中枢神経系における内分泌攪乱作用のマーカー分子の検索を目的とした。 脳は胎仔期から新生仔期に盛んに分裂・分化し、その機能や構造の大部分が位置づけられる。そこで、その時期の脳(海馬や大脳皮質)の層構造形成プロセスにおいて、機能的重要性が示唆されているCajal-Retzius細胞(CR細胞)に着目し、内分泌攪乱物質(トリフェニル錫)の影響を免疫組織学的に検討した。今回の母体経由の新生仔脳に対する毒性試験では、海馬・新皮質などにおけるCR細胞の分布・形態の変化や神経繊維の変性などは認められなかった。以上より、胎仔期から新生仔期におけるCR細胞に対するトリフェニル錫の毒性はあまりないと考えられた。 そこで、他の分子マーカーの検索が必要となった。しかし、未知の影響に対し関連分子を予想することは前述のように困難である。そこで、トリフェニル錫に関連する分子を網羅的に解析することにより、内分泌攪乱物質による機能障害の本質となる分子を捉えることができるのではないかと考え、プロテオーム解析を行った。二次元電気泳動による解析の結果、トリフェニル錫により発現量が変動するタンパク質を8種類検出することに成功した。プロテオーム解析は、タンパク質の発現する時期と場所を加味して解析するため、今回発現量の変動が認められた分子は、トリフェニル錫の未知の毒性と直接あるいは二次的・三次的に関与していることが推測される。今後それら分子を同定し、中枢神経系への影響を明らかにすると共に、内分泌攪乱作用のマーカー分子としての可能性を模索する。
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Research Products
(1 results)