Research Abstract |
本研究は,小学校高学年児童,中学校および高等学校生徒を対象に,いじめを構成する加害群,移行群(いじめるいじめられる両方を経験),被害群,傍観群,無関係群の分布とその学年による推移を横断的に質問紙法によって明らかにすることと,これら5群の抑うつ,孤独感,自尊感情,社会的支援,希死念慮,人間関係,登校意欲等の精神衛生の差異を比較検討し,小中高での特異性を明らかにすることを目的とする. 申請者は既に中学生を対象に上記のような研究を行い,移行群は他群に比べ希死念慮が最も高く,自尊感情,登校意欲が最も低く,被害群に次いで抑うつが高いなどリスクの高いグループであることを明かにしているが,小学生,高校生で同様な傾向が得られるか検討する. 平成11年10月に行っている中学生向けの質問紙の質問項目を参考に,小学校高学年版と中学生・高等学校版の質問紙を作成した.質問項目の内容は,基本的属性,主観的幸福感,希死念慮,孤独感,自尊感情,社会的援助,不登校日数,保健室登校の有無,カウンセリングの有無,主観的健康状態,ストレスの有無,人間関係(学校,友人,家庭),ライフイベント,不登校関連,いじめ関連,抑うつ性,いじめに対する知識・態度・行動等である.予備調査を小中高それぞれ30名程度に実施し,必要な修正を行なった. 高等学校は群馬県内の普通高校3校(内訳は男子高,女子高,男女共学校)と実業高校1校(商業高校で男女共学)の4校を対象とし,各学年2クラスを抽出して平成13年2月に本調査を行なった.中学校と小学校は平成13年3月に本調査を行なう予定である.対象者数は小学校4〜6年生男女約600名,中学生男女約600名,高校生男女約600名の計約1800名である. なお,本調査の予備調査に相当する平成11年10月の中学生を対象とした調査の内容は日本学校保健学会で平成12年11月に発表した.
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