2001 Fiscal Year Annual Research Report
排泄動作の自立支援に関する縦断的研究(機能性尿・便失禁者のための福祉用具)
Project/Area Number |
12770209
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Research Institution | Hiroshima Prefectual College of Health Sciences |
Principal Investigator |
上村 智子 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (80280204)
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Keywords | 福祉用具 / 排泄 / 日常生活活動 / リハビリテーション / 自立 |
Research Abstract |
研究1 中等度の歩行障害があっても,排泄動作の自立を維持して在宅生活を送っていた2名の60歳台の女性にリハビリテーション病院入院中と退院後にインタビューした.各々の診断名は頚髄損傷と脳卒中だった.両者ともに,当該病院転入時には留置カテーテルまたはオムツを使用していた.退院までに,歩行器または監視下T字杖使用の条件で排泄動作が自立した.退院後は介護保険のデイサービスなどを利用していた.両者ともに,入院中の排泄介助では「介助者に気がねして,排泄回数や排泄時間を少なしていた」と語った.退院後,両者ともに居室内で転倒して外傷や打撲を経験していた.また,かぜで寝込むことがあり,その後の歩行困難を経験していた.以上の結果から,排泄動作の自立支援プロセスにおいて本人の介助者への気がねに配慮する必要性,および排泄自立を維持するための長期的なリスク管理の必要性が示唆された. 研究2 一般住宅で介助を受けて,片麻痺者(5名の模擬患者)がトイレへの移動に車いすを使う場合とシャワーキャリーを使う場合の身体的および心理的負担を比較した.シャワーキャリー使用時にはベッド上で下着の上げ下げを行った.車いす使用時にはトイレ内で便座に移乗する際にこれを行った.一連の排泄動作における移乗回数は前者で2回,後者で4回だった.下着の上げ下げに要した時間も移動に要した時間もシャワーキャリーの方が長かった.使用後のアンケートには,シャワーキャリーに対して(下着を脱いだまま移動するので)「寒い」「恥ずかしい」「臀部が痛い」という感想が示された.以上の結果から,体幹・下肢機能障害をもつ人の排泄時の移乗回数を減らすための,シャワーキャリー導入において,下着の上げ下げや移動工程の負担を軽減する工夫(着衣の工夫,シャワーキャリーの操作性向上,環境整備)および本人の心理的負担への対応が必要なことが示唆された.
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