2000 Fiscal Year Annual Research Report
突然死例における急性冠動脈症候群の法医病理学的研究
Project/Area Number |
12770221
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
高田 綾 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (30245196)
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Keywords | 急性冠動脈症候群 / 急性心筋梗塞 / 陳旧性心筋梗塞 / 突然死 / 法医病理学 |
Research Abstract |
法医学領域における突然死剖検例について,とくに肉眼的に明らかな陳旧性心筋梗塞を伴う症例を対象として,新たな急性冠動脈症候群がどのくらい突然死に関与しているかについて,症例を集積し,法医病理学的に検討した. 平成10年1月1日から12年12月31日までの3年間に検索した虚血性心疾患は52例,このうち,陳旧性心筋梗塞を伴う症例は23例あった.陳旧性心筋梗塞の部位は,前壁中隔:11例(貫壁性;2,心内膜側2/3;7,心内膜下;2),下壁:4例(貫壁性;1,心内膜側2/3;2,心内膜下;1),側壁:4例(心内膜側2/3;3,心内膜下;1),中隔上部:1例(心内膜下),多部位にみられる症例:3例(前壁中隔と下壁;2,前壁中隔と側壁;1). 陳旧性心筋梗塞23例中,通常の検索で新鮮な粥腫崩壊(粥腫内出血)・新鮮血栓による閉塞・急性心筋梗塞のいずれかを合併し,新たな急性冠動脈症候群が突然死の原因と考えられた症例は,8例[約35%](3例は同じ冠動脈の領域,5例は異なる冠動脈の領域)であった.残りの新たな急性冠動脈症候群を伴わない陳旧性心筋梗塞(15例)について,他臓器の所見,死亡経過などを考慮して直接死因を考察してみたところ,致死性不整脈と考えざるをえない症例が8例,心不全(ポンプ失調)と考えられる症例が5例,その他(溺死,低体温)が2例という結果であった.さらに,次年度にむけて,冠動脈連続切片の作成準備を行い,また陳旧性心筋梗塞の形態学的パターンと死因との関連などについて検討する予定.
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Research Products
(1 results)