2001 Fiscal Year Annual Research Report
突然死例における急性冠動脈症候群の法医病理学的研究
Project/Area Number |
12770221
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
高田 綾 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (30245196)
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Keywords | 急性冠動脈症候群 / 急性心筋梗塞 / 陳旧性心筋梗塞 / 突然死 / 法医病理学 |
Research Abstract |
法医学領域における突然死のうち、肉眼的に陳旧性心筋梗塞を伴う症例を法医病理学的に解析した。対象は、平成10年1月1日〜平成13年12月31日(4年間)の虚血性心疾患自験例75例のうち、陳旧性心筋梗塞を伴う33例である。 (1)陳旧性心筋梗塞33例中、新たな急性冠動脈症候群が突然死の原因と考えられた症例は18例(55%)であった。これらの症例では冠動脈の通常の検索により、新鮮な粥腫波綻(粥腫内出血を含む)・新鮮血栓による閉塞・急性心筋梗塞のいずれかを合併していた。 (2)粥腫破綻等は、いずれも陳旧性心筋梗塞の原因となった冠動脈器質化血栓と独立して生じていた(同一冠動脈領域に5例(28%)、異なる冠動脈領域に13例(72%))。 (3)通常の冠動脈検索によりあらたな粥腫破綻などが検出できなかった7例(平成12年〜13年の症例)については、さらに連続切片を作成して検索したが、いずれの症例でも粥腫破綻などの病変が認められなかった。 (4)あらたな急性冠動脈症候群を伴わない症例(15例;45%)の直接死因は、死亡経過や病理所見を総合的に検討した結果、致死性不整脈と考えざるを得ない症例8例(全陳旧性心筋梗塞例中24%)、ポンプ失調などの心不全5例(同15%)、その他(溺死、低体温)2例(6%)であった。 陳旧性心筋梗塞を伴う突然死の死因については、従来、瘢痕組織をsubstrateとする不整脈死がほとんどであると考えられてきたが、今回の病理学的研究により、陳旧性病変とはまったく独立した、新たな冠動脈粥腫破綻や血栓形成が死因の半数を占めていることが証明された。このような知見は、いままでに報告が見られず、突然死の死因診断上のみならず、臨床医学的にも重要な意義を有するものと考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] A.Takada et al.: "Papillary fibroelastoma of the aortic valve : a sudden death case of coronary embolism with myocardial infarction"Forensic Science International. 113. 209-214 (2000)
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[Publications] 高田綾: "原発性冠動脈解離"医学のあゆみ:動脈瘤と動脈解離の最前線. 別冊. 125-128 (2001)
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[Publications] 齋藤一之, 高田綾: "突然死例にみる脳動脈瘤と動脈解離"医学のあゆみ:動脈瘤と動脈解離の最前線. 別冊. 111-115 (2001)
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[Publications] T.Murai, A.Takada et al.: "Sudden death due to cardiovascular disorders : a review of the studies on the medico-legal cases in Tokyo"Keio J Med. 50. 175-181 (2001)
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[Publications] 村井達哉, 高田綾 他: "循環器病領域の突然死"Cardiovascular Med-Surg. 3. 427-432 (2001)
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[Publications] 村井達哉, 高田綾 他: "病理解剖から見た突然死"Cardiovascular Med-Surg. 3. 458-463 (2001)