2000 Fiscal Year Annual Research Report
向精神薬中毒死と薬物代謝酵素遺伝子多型との関連性の研究
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12770223
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
前橋 恭子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00231605)
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Keywords | 薬物代謝酵素 / CYP2C19 / 中毒 / 向精神薬 / PCR-RFLP |
Research Abstract |
【緒言】CYP2C19は、ジアゼパムなど多種類の薬物代謝に関与しているとされている。今年度は、これらの薬物を服用し、その中毒が疑われた剖検例についてCYP2C19の遺伝子型を検討した。 【材料および方法】薬物中毒群として死因に薬物(ジアゼパム、フェノバルビタール)が関与していると考えられた剖検例4例、対照群として21例について、血液から抽出したDNAを材料とした。型判定はMoraisら^<1)>の方法にしたがってCYP2C19遺伝子、Exon4およびExon5に存在する一塩基置換をPCR-RFLP法で検出し、wild type(wt)とmutant(m)の型判定を行った。 【結果および考察】対照群は、wt/wtが9例、wt/m1が5例、wt/m2が5例、m1/m2が1例、m1/m1が1例、m2/m2が0例であった。薬物中毒群では、wt/wtが2例、wt/m1が1例、wt/m2が1例であり、m1/m2、m1/m1、m2/m2については検出されなかった。CYPの表現型は正常な代謝を示すextensivemetabolizers(EM)と代謝能が極めて低いpoor metabolizers(PM)の2つに分けられ、CYP2C19では、PMのほとんどが、m1/m2、m1/m1、m2/m2の型を持つとされている。今年度の研究では、検査した4例から、この型を持つものは観察されず、死因と変異型との間に必ずしも直接的な関連は見いだせなかった。しかしながら、この4例は、ジアゼパムやフェノバルビタール以外の薬物も同時に検出されていることから、来年度は、CYP2C19以外の分子種とそれに対応する薬物による中毒例についても検討を加えたい。 ^<1)>de Morais,S.M.F.et al.Molecular Pharmacology 46:594-8,1994
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