2000 Fiscal Year Annual Research Report
B細胞性慢性リンパ性白血病におけるB1細胞腫瘍化の分子機構の解析
Project/Area Number |
12770236
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
濱野 慶朋 順天堂大学, 医学部, 助手 (10281354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 幸子 順天堂大学, 医学部, 助教授 (00127127)
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Keywords | B1細胞 / B細胞性慢性リンパ性白血病(BCLL) / New Zealandマウス / マイクロアレイ / 多段階発癌 |
Research Abstract |
B細胞性慢性リンパ性白血病(BCLL)は、複数の感受性遺伝子が関与する遺伝性癌の一つと考えられている。一方、BCLL患者やその家族には高率に自己免疫疾患が発症することが報告されている。BCLLは、B1細胞と呼ばれる特異なB細胞系の腫瘍である。B1細胞は本来自己抗体産生能を有し、B1細胞の異常分化と異常増殖に関わる遺伝子群の組み合わせにより、病態表現としてBCLLあるいは自己免疫疾患が発症すると考えられる。我々は、New Zealand White(NZW)マウス系がBCLLを自然発症することを見出し、連鎖解析によりBCLL前駆細胞の増殖に関わる3つの感受性遺伝子領域を明らかにした(Blood 92:3772,1998)。さらにこれら前がん状態の細胞が悪性細胞へと変異する際に、多段階発癌機構が働いている可能性が示唆された。本研究では、発がんに関わる変異遺伝子群を明らかにするため、BCLLを発症したNZWマウスから白血病細胞をFACSソーティングにより分離し、マイクロアレイで528個の遺伝子の発現レベルを白血病を発症しないB10マウスの脾臓B細胞のそれと比較した。その結果、BCLL細胞においては、Igf1・Fosなどの成長因子・癌遺伝子が正常B細胞に比べ発現が亢進しており、また、Brca2・Tsg101・Rb1などの癌抑制遺伝子やTnfr1・Tgfb1・Il2rgなどの免疫調節遺伝子の発現が低下していることが判明した。このうちFos・Brca・Rb1・Tgfb1については、ヒトBCLLにおける関与が指摘され、本モデルにおいても、ヒトと共通の発癌機構を介して腫瘍化することが示唆された。今後、発現に差の認められたこれらの遺伝子について、ゲノムでの遺伝子変異の有無や、BCLL細胞のalellic deletion解析で見出される変異遺伝子との関連を解析し、BCLL発症機構を総合的に解明していきたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hirose,S.,Jiang,Y.,Hamano,Y.and Shirai,T.: "Genetic aspects of inherent B-cell abnormalities associated with SLE and B-cell malignancy : lessons from New Zealand mouse models"International Review of Immunology. 19. 389-421 (2000)
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[Publications] Hirose,S.,Hamano,T.,Fujii,H.and Shirai,T.: "Genetic aspect of hereditary B cell chronic lymphocytic leukemia"Japanese J.of Cancer Research. 91suppl.. 432 (2000)
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[Publications] 濱野慶朋,広瀬幸子,白井俊一: "New Zealand系マウスに自然発症するB細胞性慢性リンパ性白血病(B-CLL)細胞のVHレパトアの検討"Proceedings of Japanese Society for Immunology. 30. 137 (2000)