2000 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴ脂質をターゲットとした新しい膵癌治療法の開発
Project/Area Number |
12770249
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
正宗 淳 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (90312579)
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Keywords | スフィンゴ脂質 / 膵癌 / アポトーシス / 遺伝子治療 / IL-8 |
Research Abstract |
平成12年度は膵癌細胞株(AsPC-1、MiaPaca-2,PANC-1)を用いたin vitroにおける基礎的検討を行った。いずれの細胞株もセラミドの細胞膜透過型アナログであるC_2セラミドおよびスフィンゴシンにより濃度依存性にアポトーシスが誘導された。アポトーシス誘導は細胞形態、DNAアガロースゲル電気泳動、flow cytometryにて確認された。C_2セラミドの不活性化アナログであるC_2ジヒドロセラミドやスフィンゴシン1リン酸ではアポトーシスは誘導されなかった。一方、既報の中性スフィンゴミエリナーゼのシークエンスを基にヒト胎児肝のcDNA libraryからPCRにてその全長を増幅し、発現ベクターPCDNA3にサブクローニングした(nSMase/PCDNA3)。シークエンシングにより塩基配列を確認後、nSMase/PCDNA3をリポフェクチン法により膵癌細胞株に遺伝子導入した。一方、近年、膵癌細胞がIL-8を産生することにより、増殖や転移を調節していることが報告されているため、スフィンゴ脂質によるIL-8産生誘導についても検討した。いずれの細胞株もC_2セラミド処理によりIL-8の産生が誘導された。その効果はMIAPaca-2において最も顕著であり約14倍であった。スフィンゴシンでは誘導は認められなかった。C_2セラミドによるIL-8産生誘導は遺伝子転写レベルで調節され、転写因子NF-κBが主に、AP-1が一部関与していた。C_2セラミドはMAP kinasesを活性化し、そのIL-8産生誘導はERK系の阻害剤であるPD98059およびp38 kinaseの阻害剤であるSB203580により部分的に抑制されたことから、これらMAP kinasesの関与も考えられた。
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