2001 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌発生・進展における細胞増殖活性・アポトーシスの検討-大腸癌化学予防の作用機序との関連を含めて
Project/Area Number |
12770268
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小西 英幸 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (30295670)
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Keywords | 大腸腫瘍 / COX-2 / 化学予防 / p53 / 細胞動態 / VEGF |
Research Abstract |
大腸癌発生のメカニズムならびに非ステロイド系抗炎症剤の持つ大腸癌発生予防の作用機序を解明するために、大腸腫瘍(腺腫および早期癌)を用いてp53,APCなどの遺伝子解析をした後、増殖活性とアポトーシスの程度を同一症例内の正常部と癌部あるいは腺腫部の間で比較検討した。さらにp53,P21などのアポトーシス関連遺伝子とVEGF, EGFなどの増殖因子ならびにCOX-2免疫染色を施行し、腫瘍内のそれぞれの蛋白発現の有無と局在を検討した。 loss of heterozygosity (LOH)とmicrosatelliteの解析から、明らかなreplication error(RER)を示す症例は除外した。COX-2蛋白は、腫瘍径の大きな腺腫と癌のほぼ全例において、腫瘍細胞ならびに間質細胞で陽性を示し、特に腫瘍先進部でより強陽性となった。腫瘍表層部では増殖活性とCOX-2蛋白の間に逆相関を、また腫瘍先進部ではアポトーシスとCOX-2蛋白の間に逆相関を認めた。一方、p53蛋白過剰発現を示す癌は過剰発現を示さない癌に比し、COX-2蛋白の強発現とアポトーシスの低下を認めた。さらに、特に腫瘍先進部でVEGFとCOX-2蛋白の発現と増殖活性の三者には極めて高い相関を認めた。 以上からCOX-2蛋白は大腸癌発生の早期から関与していることが明らかとなり、癌部、特に腫瘍先進部における細胞増殖活性とアポトーシスのアンバランスの原因の一部を担うこと、またCOX-2蛋白はVEGF、引いては新生血管増生を介して細胞増殖を促している可能性が示唆された。しかし、その他の増殖因子との関連も含めて、COX-2の有する大腸癌の進展における役割についてはさらなる検討が必要と考えられた。 これらの結果は、日本消化器病学会総会、日本癌学会ならびに米国消化器病週間で発表の準備中で、また現在論文作成・投稿中である。
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Research Products
(1 results)