2000 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌におけるp53遺伝子の機能異常と生物学的特性
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12770269
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中島 智樹 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (40275201)
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Keywords | 肝細胞癌 / Yeast functional assay / P53蛋白 / 増殖活性 / アポトーシス / 免疫組織化学 / in situ end-labeling法 |
Research Abstract |
今年度は肝細胞癌50症例を対象にして、P53蛋白の機能的な変異を、yeast functional assayを用いて解析した。さらに個々の症例につき、Ki-67免疫染色により増殖活性を、In situ end-labeling法によりアポトーシスの頻度を検討し、P53蛋白の機能的変異がどのような細胞生物学的特性と関連しているのかといった点についても検討した。また、従来から行われてきた抗P53モノクローナル抗体を用いた免疫組織化学法によっても変異型P53蛋白の発現を調べ、yeast functional assayの結果と比較した。 その結果、P53蛋白が機能的に異常をきたしていた症例は50例中22例であり、従来の方法での結論と同様、組織学的分化度の低い症例に異常例が多い成績であった。しかし、この異常例のうち、免疫組織化学法で変異型P53蛋白陽性であったのは14例であった。このことから、yeast functional assayは従来からの免疫組織化学法に比較してより精度高くP53蛋白の異常を検出する方法と考えられた。 Ki-67陽性率からみた増殖活性は、機能異常の症例で32.2±12.6%、正常例では22.2±11.3%と、機能異常例で有意に(p<0.001)高い成績であった。また、In situ end-labeling法でみたアポトーシスの頻度は、機能異常例で1.01±0.84%、正常例で0.84±0.85%と、両者に有意差は認められなかった。 今後はさらにP53蛋白の機能異常とセントロソーム複製異常やDNAプロイディの異常など他の生物学的特性との関係についても検討していきたい。
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