2001 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌におけるp53遺伝子の機能異常と生物学的特性
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12770269
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中島 智樹 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (40275201)
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Keywords | 肝細胞癌 / yeast functional assay / p53タンパク / transdominance assay / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
Yeast functional assayとtransdominance assayを行い、最終的に肝癌症例計50例についてp53タンパクの機能解析を行った。また変異型p53タンパクの発現を調べるため、従来から行われている免疫組織化学を行い、機能異常との関係についても検討した。また機能異常と診断した症例についてはdirect sequenceを行い変異の詳細を調べた。 結果 1.yeast functional assayの成績 50例のうち21例(42%)に20%以上の赤コロニーがみられyeast functional assayのうえではp53タンパクの機能異常があるものと診断された。赤コロニーの4ケ所からDNAを抽出してシークエンスしたところナンセンス変異が4例、フレームシフト変異5例、ミスセンス変異13例(1例には単一アレルにナンセンス変異とフレームシフト変異)がみられた。 2.免疫組織化学との対比 ミスセンス変異の症例は全例で変異型p53タンパクが陽性であった。ナンセンス変異やフレームシフト変異の症例ではすべて陰性であった。 3.transdominance assayの成績 変異型p53のうち17例はrecessive mutantで、残り5例にトランスドミナンス活性があった。この5例についてはyeast functional assay上では機能異常と診断されたがtransdominance assayもあわせて考えるとタンパク全体としては機能を保持しているものと思われる。またナンセンス変異とフレームシフト変異の症例はすべてrecessive mutantであった。 結論 免疫組織化学でとらえられた変異型p53タンパクはすべてp53タンパクとしての機能が消失していると考えられた症例であり、免疫組織化学でとらえられなかった変異についてはなおp53タンパクの機能を保持している可能性が考えられた。
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