2000 Fiscal Year Annual Research Report
HLA-4量体法を用いた肝炎ウイルス感染における細胞性免疫応答の解析
Project/Area Number |
12770270
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
浅部 伸一 自治医科大学, 医学部, 助手 (60281680)
|
Keywords | 肝炎ウイルス / 細胞障害性T細胞(CTL) / HLA tetramer / TTウイルス(TTV) / C型肝炎ウイルス(HCV) / CTLエピトープ / 細胞性免疫応答 |
Research Abstract |
本研究では、C型肝炎ウイルス(HCV)等のウイルス感染による肝炎発症・慢性化と宿主側免疫応答との関連を解明し、治療法開発・病態解明に役立つ新知見を得るため、新しい解析方法であるHLA tetramer法の構築と応用を目的としてきた。 1.HLAクラス1分子・β2マイクログロブリンの精製、抗原ペプチドとの複合体形成、HLA tetramer作成。 米英では白人に多いHLA-A2.1分子を用いたHLA tetramerが既に作成されている。本研究では日本人の60%が保有しているHLA-A24を対象としてHLA-A24 tetramerの作成を行った。HLA-A24、β2マイクログロブリンを大腸菌内で発現させて精製し、ペプチドと混合して複合体を生成させる。その複合体をビオチン化・精製、最後にストレプトアビジン-蛍光色素化合物を用いて4量体(tetramer)化した。HLA-A24の発現効率・ビオチン化効率など幾つかの問題点があったが、試行実験を繰り返して最終的にA24 tetramerの安定した作成に成功した。まず陽性コントロールとしてEBウイルス(EBV)のHLA-A24拘束性細胞障害性T細胞(CTL)エピトープを用いてA24 tetramerを作成し、このtetramerが有効に機能することを確認した。 2.TTウイルス(TTV)感染・既感染者血液中のT細胞の解析。 実際の解析は主にTTV,HCVに関して開始した。このどちらのウイルスにおいてもHLA-A24拘束性の抗原エピトープは未だ報告されていない。特にTTVは高率に持続感染をするが、宿主側の細胞性免疫応答が存在するか否か自体が不明である。そこでTTV抗原を認識するCTLが存在するのかどうか、存在するならばどのエピトープを認識するのかについての解析を行った。その結果、少なくとも3つのHLA-A24拘束性の抗原エピトープを発見し、これらを認識するCTLの誘導に成功した。これらは従来のCTL誘導法では検出不可能であり、HLA tetramer法によって初めて確認できたCTLである。HCVに関しても同様の方法で新たな抗原エピトープの発見と解析が可能であると考えられ、現在進行中である。
|