2000 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子E2F1を利用したRb(-/-)癌細胞に対する殺細胞効果の解析
Project/Area Number |
12770284
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
麻生 智子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10297533)
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Keywords | アポトーシス / E2F1 / 肝癌 / Rb |
Research Abstract |
癌細胞では激しい細胞増殖が生じているが、一方アポトーシスによる細胞死も高度に見られる。癌細胞のアポトーシスはいくつかの経路によって分類されるが、放射線照射や抗癌剤によるアポトーシスはp53に依存する経路であるとされる。これ以外にc-mycやE2F1に依存する経路が知られている。我々は、E2F1が結合するRb(網膜芽細胞腫遺伝子)が欠損している癌細胞(Rb-/-)を、E2F1を利用して治療することを目的に実験をすすめている。まずRb-/-の癌細胞として継代肝癌細胞株Hep3Bと、Rbが野生型であるHuH7とHepG2をコントロールとして使用しE2F1によりアポトーシスが誘導されることを確認する実験を行っている。最初に E2F1cDNAをこれらの細胞株で発現させるために、E2F1cDNAを発現ベクターに組み込み遺伝子導入を試みている。これはtransientな発現系であるが、これ以外にinducibleな発現システムを構築するべく異なるプラスミドを使用し、これらをトランスフェクションし細胞株を分離する実験を行っている。E2F1は細胞周期のG1期には低リン酸化のRbと結合しており、S期に進入すると高リン酸化状態のRbより遊離し、各種遺伝子のプロモーター上で転写促進因子として作用する。そしてG2/M期にはE2F1自身がリン酸化され分解されその活性を失うと考えられている。この最後の過程で分解が抑制されるならば、Rb-/-細胞では過剰発現状態と同様となりやはりアポトーシスを引き起こしうる。そこでこの分解を抑制するペプチドを合成しこれを細胞内に導入する実験も継続中である。
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