2000 Fiscal Year Annual Research Report
HO-1欠損マウスを用いた肺気腫発生メカニズムに関する研究
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12770291
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中山 勝敏 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (40321989)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ-1 / 遺伝子欠損マウス / 喫煙 / 肺気腫 |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)は、ヘムを一酸化炭素(CO)、フェリチン、ビリルビンに分解する酵素で、近年その抗酸化作用、抗炎症作用が注目されている。我々は、この遺伝子の制御領域のGT反復配列遺伝子多型と肺気腫の発症の関連を研究し、肺気腫患者が非肺気腫喫煙者に比して有意に長いGT反復配列長を持ち、また長いGT反復配列を導入された細胞株ほど酸化ストレスに対するHO-1遺伝子発現能力が弱くなることを明らかにした。これを踏まえてHO-1発現異常における肺気腫発生の病態生理について解析する為に、HO-1欠損マウスにタバコ曝露を行い、肺病理を検討する事とした。 現在のところ、HO-1ヘテロ欠損マウス(+/-)とリッターメイトの野生型マウスを各12匹程度得る事ができた。このうち2匹ずつをメイテング用に使用し、更に実験用のマウスを得る努力をしている。実験としてはHO-1ホモ欠損マウス(-/-)も使用したいところであり、現在、マウスの生産にも力を入れている。したがって喫煙実験には、HO-1ヘテロ欠損マウス(+/-)とリッターメイトの野生型マウスを各10匹程度ずつ用いて、長期タバコ曝露を開始している。利用可能なマウスが生れ次第、計画的にタバコ曝露を追加してゆく予定である。実験動物喫煙装置としては、Borgwaldt社、Hamburg IIIを東海大学松木教授より貸与して頂いている。喫煙は12週令から開始し、6-12ヶ月間行う。喫煙は5日/週、1回約10分間としている。先ず6ヶ月目で肺気腫の評価をおこなう。評価項目としては、喫煙期間中に毎週体重測定を行い、その体重変化を比較する。肺標本を作製し病理学的検討を加える。気管支肺胞洗浄液を回収し液中の集積細胞の量・種類の違いを解析する。まもなく6ヶ月が経過するところで、剖検肺組織、肺胞洗浄液、肺機能により肺気腫の評価を準備しているところである。
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