2000 Fiscal Year Annual Research Report
環境有害物質の気道上皮細胞に及ぼすサイトカイン分泌刺激の細胞内情報伝達機構の研究
Project/Area Number |
12770293
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡崎 仁 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80261973)
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Keywords | 気道上皮細胞 / DEP / 細胞内情報伝達 / サイトカイン |
Research Abstract |
ディーゼル排気粒子の気道上皮細胞に及ぼす影響を検討するため、気道上皮細胞の細胞株であるBET-1Aを用い、さまざまな細胞内刺激伝達系の活性化の有無を検討中である。現在のところ、DEPのJNK活性に及ぼす影響を抗リン酸化JNK抗体で調べたが、はっきりとした活性化は確認できなかった。またDEPがアレルギー性炎症を増悪させるという報告もあり、気道上皮細胞においても何らかの働きをしている可能性を検討するため、IL-4との同時刺激がSTAT-6の活性化に及ぼす影響を検討したがはっきりとした増強効果はみられなかった。さらにDEP単独の刺激でIL-8の産生がみられることが知られており、IL-8の産生には核内転写因子のNF-кBの活性化が重要であることより、NF-кBの細胞質内阻害因子であるIκBの蛋白レベルでの分解をみたが、はっきりとした変化が認められなかった。以上のことより、DEPは気道上皮細胞に対して、受容体を介する刺激伝達系と比べゆっくりと刺激を伝達する可能性、また今まで調べたような経路を介さない伝達系を通して刺激を伝達している可能性が示唆された。最近の報告で気道上皮細胞はディーゼル粒子を食作用で取りこんでいることが判明しており、細胞内に長くとどまることにより粒子に含まれる物質が可溶化し刺激を細胞に与えている可能性が示唆されている。細胞の食作用には細胞骨格系の関与が必須であり、それに関与するsmall G proteinの役割が重要と考えられる。また活性酸素を介した刺激の伝達にもsmall G proteinが関与しているとも言われており、現在dominant negativeのsmall G proteinを細胞に発現させることによりその影響を検討する前段階の予備実験中である。
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