2001 Fiscal Year Annual Research Report
緑膿菌性気道感染症に対する線毛蛋白及び抗体の経気道的投与による感染抑制効果
Project/Area Number |
12770298
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
平松 和史 大分医科大学, 医学部, 助手 (80301381)
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Keywords | 緑膿菌 / 気道感染症 / 線毛蛋白 / 感染抑制 / 能動免疫 / 受動免疫 |
Research Abstract |
サッカロース密度勾配超遠心法を用いて緑膿菌線毛を精製し、Balb/cマウスに経気道的免疫を行った。その後、緑膿菌PAO1株の経気道的チャレンジに対する生存率を比較検討した。精製線毛+コレラトキシン免疫群ではコントロール群の牛血清アルブミン(BSA)+コレラトキシン免疫群に対して明らかに生存率の改善を認めた(100%vs14%)。さらにSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で菌体成分を分離し、線毛蛋白を精製し免疫した群においても同等の生存率の改善を認めた。これらのことは緑膿菌線毛の緑膿菌急性気道感染マウスモデルでの経気道的投与によるワクチンの有用性を示している。またSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いた精製蛋白においてもそのワクチン効果の有効性が示されたことから、線毛としての三次元構造を保持していない蛋白においても経気道的投与によるワクチンとしての有用性が示唆された。 さらに肺胞洗浄液中の抗緑膿菌線毛蛋白IgA抗体価を検討してみると、BSA免疫群では4倍未満であったのに対し線毛免疫群におけるは抗体価は64倍と上昇していた。これらのことは線毛の経気道的免疫による生存率の改善効果の一因が、肺内における線毛蛋白IgA抗体にある可能性を示唆している。 現在、能動免疫としての線毛蛋白のペプチドワクチンとしての有効性や抗緑膿菌線毛蛋白ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を用いた受動免疫の有用性の検討を行っている。
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