2001 Fiscal Year Annual Research Report
肺気腫患者末梢気道被覆液中各種エラスターゼ濃度のマイクロサンプリング法による検討
Project/Area Number |
12770301
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
峰松 直人 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20296578)
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Keywords | 肺気腫 / プロテアーゼ / プロテアーゼインヒビター / 遺伝子多型 / 末梢気道被覆液 |
Research Abstract |
COPD患者(n=18)および健常喫煙者(n=11)よりマイクロサンプリング法を用いて得た気道被覆液中のカテプシン(Cat)S、Bおよびその拮抗物質であるシスタチン(Cys)Cの濃度を測定した。採取した気道被覆液は生理食塩水1mlにて希釈した。Cat S濃度はCOPD患者で健常喫煙者より有意に高かった(9.7±5.1 vs. 6.0±4.1 ng/ml, p<0.05)。Cys C濃度はCOPD群で健常喫煙群より高い傾向を認めた(52±36 vs. 32±18 ng/ml, p=0.10)がCat B濃度は両群間で差を認めなかった。臨床パラメーターとの相関解析においては現時点ではCat S濃度は一秒率、拡散能、肺気腫化スコアと統計学的に有意な相関は認めなかった。これらの結果より、マイクロサンプリング法はCOPD患者末梢気道に微量に存在するメディエーターの解析に有用であり、Cat Sをはじめとしたシステインプロテアーゼの肺気腫をはじめとするCOPDの病態への関与の可能性が示唆された。現在、さらに症例数を追加し、臨床パラメーターならびにCat S、Cys Cの遺伝子多型との関連について解析中である。 一方、肺気腫化に重要とされるmatrix metalloproteinase-9(MMP-9)遺伝子多型(C-1562T)について喫煙者110例、非喫煙者94例の血液細胞由来DNAを用いて遺伝子解析を行い、臨床パラメーターとの相関を検討した。T alleleを持つ群は持たない群に比して肺気腫化は有意に高度であり、回帰分析においてT alleleは肺気腫化の独立した危険因子であることが示された。マイクロサンプリングの症例数を追加した段階で、MMP-9遺伝子多型による気道被覆液中MMP-9濃度の差異につき検討を行い、この多型の肺気腫の病態への関与を確認する予定である。
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Research Products
(1 results)