2001 Fiscal Year Annual Research Report
慢性低酸素性肺高血圧症の進展に対するレチノイン酸の効果
Project/Area Number |
12770303
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大西 正浩 順天堂大学, 医学部, 助手 (30255666)
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Keywords | 肺高血圧症 / レチノイン酸 / 右心負荷 |
Research Abstract |
目的 肺高血圧症の進展に対するレチノイン酸の効果を、慢性低圧低酸素性肺高血圧およびモノクロタリン投与による肺高血圧ラットを用いて検討した。 方法 慢性低圧低酸素性肺高血圧ラットは、雄の8週齢SDラットを気圧380mmHgの低圧チャンバー内で2週間飼育することにより作成した。モノクロタリン肺高血圧ラットはモノクロタリン60mg/kgの皮下投与により作成した。 これらのラットにcottonseed oilで溶解したall-trans-retinoic acid(ATRA)500ug/kgもしくは溶媒を同容量、腹腔内に連日投与した。これらの薬剤の投与はチャンバー内での飼育1週間前もしくはモノクロタリン投与1週間前から開始し、2週間連日行った。2週間後にケタミン、ペントバルビタールによる痲酔下に頚動脈および肺動脈にカテーテルを挿入留置した。翌日に麻酔から完全に覚醒した後に体血圧、肺動脈圧を測定した。右心負荷の指標として右室/左室・心室中隔重量比を計測した。 結果 慢性低酸素性肺高血圧ラットでのATRA投与群、対照群での平均肺動脈圧はそれぞれ34.3±7.9,31.8±4.0mmHgであった。右室/左室・心室中隔重量比も2群間で差は認められなかった。モノクロタリン肺高血圧ラットではATRA投与群、対照群での平均肺動脈圧はそれぞれ31.5±3.5,32.9±5.2mmHgで、右室/左室・心室中隔重量比はそれぞれ60.4±6.5,54.6±9.1%で2群間に差は認められなかった。以上よりall-trans-retinoic acid 500ug/kgの投与によっても慢性低酸素性およびモノクロタリンによる肺高血圧進展、右心負荷の進展に対する改善効果は認められなかった。
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