2000 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア脱共役蛋白の神経系における機能解析とアルツハイマー病との関連
Project/Area Number |
12770318
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
涌谷 陽介 鳥取大学, 医学部, 助手 (10322215)
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Keywords | アルツハイマー病 / UPC4 / BMCP1 / 多型解析 |
Research Abstract |
脱共役蛋白(Uncoupling Protein:UCP)はATPの合成を伴うことなしにプロトンの勾配を解消(脱共役)し,その結果,脂肪酸など基質の酸化を著しく亢進させエネルギー産生反応をつかさどる.UPC4およびBrain Mitochondrial Carrier Protein1(BMCP1あるいはUPC5)が,脳において高い発現がある.これら二つの分子の中枢神経系での詳細な働きはまだ明らかになっていないが,中枢神経系におけるミトコンドリアエネルギー代謝の消費調節系の維持に重要であることが予想されている.UPC4およびBMCP1という中枢神経系における新たなエネルギー代謝関連因子の発現・機能を解析する事は重要な課題と考えられる.今回UPC4およびBMCP1の中枢神経系における機能の解析や遺伝子多型の検討を行った.ヒト剖検脳からtotal RNAを抽出しRT-PCR法で両者が脳で発現していることを確認した.両者のcDNAと公開されたヒトゲノム配列とのホモロジー解析によりエクソンを決定し,各エクソンをはさむPCR用のイントロンプライマーを設計した.BMCP1の全てのエクソンについてPCR-SSCP法を用いて多型のスクリーニングを行った.アルツハイマー病(AD)患者63人(早発型25人,晩発型38人)とコントロール30人を検討対象とした.BMCP1の全てのエクソンにおいて,多型の存在を示唆する結果は得られなかった.BMCP1は高度に保存されている遺伝子であることが予想された.UPC4は現在解析中であるが,一つのエクソンにsilent polymorphismがあることが判明した.このgenotypeがADと関連があるかどうか検討を開始している.
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