2000 Fiscal Year Annual Research Report
難治性循環器疾患に対する核酸医薬を応用した新しい治療法の確立
Project/Area Number |
12770341
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
冨田 奈留也 大阪大学, 医学部・附属病院, 助手 (70314432)
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Keywords | 遺伝子治療 / デコイ / HVJ-リポソーム法 / E2F / NFκB / 糸球体腎炎 / ターゲッティング |
Research Abstract |
本年度は、まずデコイの有用性を今までとは別の角度より検討した。具体的にはこれまで比較的遺伝子や核酸医薬の導入が困難であるとされていた腎臓においてその効果を検討した。申請者らはすでにバルーン障害後の再狭窄モデルに対してE2Fデコイ、心筋梗塞モデルに対してNFκBデコイが効果的であったことを報告している。また、遺伝子導入に関しては世界で初めてHVJ-リポソーム法を用いて腎糸球体への遺伝子に成功しており、その方法を応用して腎炎モデルにそれぞれE2Fデコイ、NFκBデコイを投与した。E2Fデコイ投与によりメサンギウム細胞増殖性腎炎モデルにおいて糸球体でのメサンギウム細胞の増殖が抑制され、結果、糸球体硬化が部分的であったがその進展が抑制されていた(Kidney Int submitted)。一方、NFκBデコイを抗基底膜抗体腎炎モデルに投与することにより炎症性のサイトカインや接着因子の発現が阻害され、腎炎の進展を抑制していることをが認められた(JASN2000)。以上よりデコイの有用性がまた違う臓器においても証明され、ますますその有用性を示唆する結果を得た。今後の方向性を考慮し、さらなる効率のよい、安全な腎臓への遺伝子導入法の開発にも取り組んだ。具体的にはリポソーム組成を変更し、その導入効率について検討した。また導入する方法自体にも改良を加え、静脈及び尿管を一時的にクランプして導入効率がどうのように変化するかについて検討した。その結果としては以下のように要約できる。1)リポソームの組成を変えてリポソーム自体を陰性に荷電するとin vivoにおける腎糸球体への導入効率は有意に上昇した。2)技術的にはできるだけHVJ-リポソーム液を腎臓に溜め込むほうが導入効率が上昇した。つまり静脈及び尿管をクランプした方が導入効率が良かった。さらにリポソームに修飾を加え、腎臓のターゲッティングも試みており、改良された導入方法を用いて検討した結果、その毒性についてはまず問題がないという結果を得ている。今後はさらにその方法を用いて治療ストラテジーの開発を目指す。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] N Tomita et al: "In vivo administration of a nuclear factor-kappa B decoy suppressed experimental crescentic glomerulonephritis"Journal of American Society of Nephrology. 11・7. 1244-1252 (2000)
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[Publications] N Tomita et al: "Gene therapy as a potential treatment for restenosis and myocardial infarction"Drug News and Perspective. 13・2. 206-212 (2000)
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[Publications] N Tomita et al: "Transcription factor decoy for NFκB inhibits TNF-α-induced cytokine and adhesion molecules expression in vivo"Gene Therapy. 7・4. 1326-1332 (2000)
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[Publications] N Tomita et al: "Novel molecular therapeutic approach to cardiovascular disease based on hepatocyte Growth factor (HGF)"Journal of Atherosclerosis and Thrombosis. (in press). (2001)
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[Publications] N Tomita et al: "Inhibition of TNF-α induced cytokine and adhesion molecule expressions in mesangial cells by transcription factor decoy for NFκB"Experimental Nephrology. (in press). (2001)