2000 Fiscal Year Annual Research Report
閉経前女性の冠攣縮狭心症発作と内因性女性ホルモンの変動との関係
Project/Area Number |
12770346
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
河野 宏明 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (10305013)
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Keywords | 血管内皮 / 女性ホルモン / 冠攣縮性狭心症 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
女性の動脈硬化性疾患は閉経後に増加する。これには、内因性女性ホルモンが関与していると考えられている。閉経前健常女性では内因性女性ホルモン、特にエストロゲンの変動に伴い血管内皮機能が変動すること(Proc Assoc Am Physicians1996;108:473-80)、閉経後女性に対するエストロゲン投与により血管内皮機能が改善することを報告してきた(J Am Coll Cardiol1997;30:914-9)。しかし、臨床的にはエストロゲン補充療法の抗動脈硬化作用については、未だはっきりとしていない。これには、エストロゲン補充療法の際に併用するプロゲステロン製剤の影響も否定できず、最もよく使用されているメドロキシプロゲステロンの効果について検討してみた。その結果、エストロゲン投与にて血管内皮機能は改善するが、メドロキシプロゲステロン併用にてその改善効果は減弱することがわかった(Am J Cardiol 2001;87:238-40)。 冠攣縮は虚血性心疾患発症全般に深く関与している。攣縮部位には造影上動脈硬化がなくても、内膜肥厚が認められることが明らかになった(J Am Coll Cardiol 2000;36:432-7)。冠攣縮の発症機序の一つとして血管内皮障害が報告かれている。冠攣縮性狭心症女性患者に対して、エストロゲンを投与すると血管内皮機能が改善とともに過換気負荷試験による冠攣縮の発症を抑制する(J Am Coll Cardiol 2001;37:735-40)。また、冠攣縮性狭心症患者に対して、酸化ストレス、インスリン抵抗性と血管内皮機能について検討した。その結果、冠攣縮性狭心症患者では、酸化ストレスが増加し、インスリン感受性と血管内皮機能は低下していた。抗酸化剤であるビタミンC投与にてインスリン感受性と血管内皮機能は改善した(J Am Coll Cardiol 2000;35:1860-6)。喫煙者では、酸化ストレスの増加によって動脈硬化が進展する。喫煙者に対しても、同様の検討を行った。その結果、ビタミンC投与にてインスリン感受性と血管内皮機能は改善した(Am J Physiol 2000;279:H1172-8)。これらのことから、酸化ストレスの増加が、冠攣縮性狭心症患者、喫煙者の血管内皮機能およびインスリン感受性に深く関与していると考えられる。 以上のように、本研究費にて血管内皮機能を中心とした臨床研究を行い、新しい知見を得ている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kawano H, et al.: "Estradiol Supplementation Suppresses Hyperventilation-Induced Attacks in Postmenopausal Women With Variant Angina"Journal of the American College of Cardiology. 37. 735-40 (2001)
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[Publications] Kawano H, et al.: "Effect of Medroxyprogesterone Acetate Plus Estradiol on Endothelium-Dependent Vasodilation in Postmenopausal Women"Amercan Journal of Cardiology. 87. 238-40 (2001)
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[Publications] Kugiyama K,Kawano H, et al.: "Gultathione Attenuates Coronary Constriction to Acetylcholine in Patients With Coronary Spastic Angina"American Journal of Physiology. 280. H264-71 (2001)
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[Publications] Hirai N,Kawano H, et al.: "Insulin Resistance and Endothelial Dysfunction in Smokers"American Journal of Physiology. 279. H1172-8 (2000)
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[Publications] Miyao Y,Kawano H, et al.: "Diffuse Intimal Thickening of Coronary Arteries in Patients With Coronary Spastic Angina"Journal of the American College of Cardiology. 36. 432-7 (2000)
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[Publications] Hirashima O,Kawano H, et al.: "Improvement of Endothelial Function and Insulin Sensitivity With Vitamin C in Patients With Coronary Spastic Angina"Journal of the American College of Cardiology. 35. 1860-6 (2000)