2000 Fiscal Year Annual Research Report
血栓形成におけるアンギオテンシンIIおよびタイプ1レセプターの役割に関する研究
Project/Area Number |
12770367
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
大塚 頼隆 久留米大学, 医学部, 助手 (90309774)
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Keywords | 生体内血栓形成 / 内皮障害 / アンジオテンシンII receptor / 血栓症モデル / knockoutマウス / 血栓閉塞時間 |
Research Abstract |
今回我々は、生体内血栓形成過程にアンジオテンシンII receptorが関与しているかを行う目的で、マウスの血栓症モデル作成に取り組んだ。麻酔下にマウスの頚動脈を露出し、丁寧に剥離し、10%の塩化鉄を染み込ませたwhatman paperをマウス頚動脈上に置き、3分後に取り除く。塩化鉄の刺激によりマウス頚動脈の内皮障害が起り、続いて強力な血小板粘着と凝集を引き起し結果的に血栓閉塞するマウス血栓症モデルの作成を試みた。血流はマウス頚動脈にドップラーフロープローブを装着し測定した。上記手技により、再現性のあるマウス血栓症モデルを作製ですることができた。生体内血栓形成においてアンジオテンシンII receptorの関与を検討するために、このマウス血栓症モデルを用いて、4群間((1)Wild type C57 BL/6マウス[WT群]、(2)WT+ヒドララジン[WT+H群]、(3)WT+アンジオテンシンII blocker[WT+A群]、(4)アンジオテンシンII type 1a receptor knockoutマウス[ATKO群])で血栓閉塞時間を検討した。4群間の体重に有意差は認めなかった。収縮期血圧はWT群に比し、他の3群で有意に低下した(WT群103.4±2.0mmHg vs WT+H群 81.4±2.4 mmHg,WT+A群82.6±3.5mmHg and ATKO群83.3±0.8mmHg,p<0.01)。WT群以外の3群の血圧には差は認めなかった。脈拍数はWT+H群が有意に上昇した(WT+H群 751.0±2.5/min vs WT群643.2±10.0/min,WT+A群652.1±5.5/min and ATKO群637.1±8.1/min,p<0.01)。脈拍数の上昇は、ヒドララジンの影響と考えられる。上記方法にて血栓閉塞時間を比較検討したところ、4群間の血栓閉塞時間に有意差は認めなかった(WT群11.7±0.7min vs WT+H群10.2±0.6min vs WT+A群10.5±0.2min vs ATKO群10.1±0.7min,NS)。つまり、定常状態では、生体内血栓形成にアンジオテンシンII receptorの関与は少ないと考えられた。近年、ウサギ高脂血症モデルにおいて、血管内アンギオテンシンII receptorが増加することが示された。そこで、平成13年度は、マウスに高コレステロール食負荷を行い、高脂血症状態におけるアンジオテンシンII receptorの血栓原因子と血栓形成に対する関与を検討して行く。
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