2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12770372
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
飯田 修司 久留米大学, 医学部, 助手 (70309772)
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Keywords | ホモシステイン / 葉酸 / ビオプテリン / 一酸化窒素 / 血管内皮 / 酸化ストレス / 動脈硬化 |
Research Abstract |
【目的】葉酸は、新しい冠危険因子ホモシステインを低下させ、NO合成の補酵素BH4を再活性化しNOの生物学的活性を回復させ、抗酸化作用を有することから、血管保護作用が期待される。今回、内皮機能異常治療薬としての葉酸の可能性とその改善機序を検討するために以下の研究を行った。【方法】他の危険因子を有しない健常若年喫煙者を対象とした。葉酸5mg/日・20mg/日又はプラセボを1週間服用させ、その急性効果(1回投与前後)と慢性効果(1週間投与前)を、高解像度超音波診断装置を用いて前腕における血管内皮機能を反応性充血時の血流依存性血管拡張反応(FMD)により評価した。内部対照としてニトログリセリンによる内皮非依存性血管拡張反応を測定した。同時に血中葉酸・BH4・酸化ストレスの指標としてmalondialdehyde(MDA)及び総ホモシステインを測定した。 【結果】喫煙者ではFMD前値が低下していた。葉酸の急性投与は、血中葉酸レベルは5mg群で20倍、20mg群で50倍に上昇させたが、血管機能や血中ホモシステインレベルには影響を与えなかった。一方、葉酸の慢性投与は、同様に血中葉酸レベルを5mg群で3倍、20mg群で5倍に上昇させた。葉酸5mg投与群においては明らかなホモシステインの低下や内皮機能改善はみられなかったものの、葉酸20mg投与群において、ホモシステインレベルは正常下限まで低下(P=.0001)し、低下していた喫煙者の内皮依存性血管拡張反応は正常化しその改善度とホモシステインの低下度は明らかな負の相関を示した(P=.002,r=-0.59)。【考察】喫煙者における内皮機能低下が慢性葉酸投与によりホモシステインの低下と共に改善した。この改善にテトラヒドロビオプテリン(BH4)やMDAの関与は乏しいと思われた。今回の我々の結果は、ホモシステインレベルを正常以下に抑えることにより内皮機能改善効果が期待できること-即ち内皮機能異常のモデュレーターとしてのホモシステインという新しいコンセプトを提示し、同時に内皮機能改善薬としての葉酸の可能性を示唆する。
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[Publications] Iida S et al.: "Endogenous NO Synthase Inhibitor, a Possible Cause of Dysregulation of Endothelial Permeability in Non-Diabetic Subjects"Circulation. 104. II-503 (2001)
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[Publications] Iida S et al.: "NO Synthase Inhibitor is Associated with Microalbuminuria in Non-Diabetic Non-Uremic Subjects"Hypertension. 38. 524 (2001)
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[Publications] Matsuoka H, Iida S et al.: "Endothelial Dysfunction in Patients with Mitochondrial Diseases : Role of Oxidative Stress"Circulation. 104. II-241 (2001)
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[Publications] Sugano R, Iida S et al.: "Endogenous NO Synthase inhibitor as a Novel Risk Factor for Atherosclerosis in Humans : Role of Oxidative Stress"Hypertension. 38. 490 (2001)