2001 Fiscal Year Annual Research Report
赤血球造血における転写因子FKHRL1の分子生物学的検討
Project/Area Number |
12770395
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
柏井 良文 自治医科大学, 医学部, 助手 (10271222)
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Keywords | エリスロポエチンシグナル伝達 / 赤血球造血 / フォークヘッドファミリー転写因子 / FKHRL1 |
Research Abstract |
【目的】細胞内シグナル伝達機構の解析を通してin vitroにおける細胞の分化、増殖、アポトーシス抑制のメカニズムを明らかにし、それらの制御破綻がどのような造血障害を起こしうるのかをin vivoのレベルで明らかにすることは血液疾患の病態の解明と治療戦略を追究する上で極めて重要であると考えられる。FKHRL1は2次性白血病で認められたt(6;11)(q21;q23)転座におけるMLL遺伝子の新しい融合相手として発見されたForkhead転写因子である。この転写因子は非常に広範な種で保存されており、胚形成、分化、腫瘍発生など生物にとって重要な機能を担っていることが推測される。 我々はFKHRL1がエリスロポエチンやトロンボポエチンシグナルの下流に存在することを明らかにし、造血系においてFKHRL1がなんらかの機能を担っている可能性を示唆した。そこで本研究ではFKHRL1の造血における役割を明らかにするために、活性型FKHRL1のトランスジェニックマウス作製を作製し、赤血球造血における機能を解明した。 【結果】FKHRL1TMトランスジェニックマウスTgは赤芽球・巨核球系に特異的に発現する転写因子GATA-1の発現調節領域の下流にFKHRL1TM連結させたコンストラクトを用いて作製した。現在2系列のTgマウスの樹立に成功している。血小板数ならびにヘモグロビン値および巨核球、赤芽球系前駆細胞は共に正常範囲であった。今後はこれらの値をモニターしながら造血障害発症の有無について観察を続ける予定である。さらに抗癌剤による骨髄抑制後の赤血球や巨核球・血小板回復への影響を検討し、赤芽球系や巨核球系前駆細胞の増幅におけるFKHRL1の役割を解析する予定である。
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