2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12770399
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
福島 崇義 北里大学, 医学部, 助手 (60265626)
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Keywords | 新生児慢性肺疾患 / TGF-β1 / IL-8 / 気管内吸引液 |
Research Abstract |
新生児呼吸障害では、好中球を中心とした炎症細胞による急性期の組織障害が生じた後の修復機転の異常が新生児慢性肺疾患(CLD)の大きな要因となると考えられている。Transforming growthfactor-β1(TGF-β1)は障害された肺組織の修復に大きく関与していることが知られており、今回新生児急性呼吸障害における生後早期の気管内吸引液中TGF-β1の推移について、Interleukin-8(IL-8)と合わせ検討したので報告する。 対象は北里大学病院NICUに入院し、出生直後より人工呼吸管理を施行した呼吸窮迫症候群児15例(平均在胎週数27週6日、平均出生体重1113g)である。全例を酸素療法を28日間以上要したCLD群4例(平均在胎週数26週0日、平均出生体重904g)と酸素療法期間が28日間未満であった非CLD群11例(平均在胎週数28週4日、平均出生体重1189g)に分類した。各症例の気管内挿管時、6時間後、12時間後、日齢1〜7の連日気管内吸引液を採取し、気管内吸引液中のTGF-β1、IL-8を両群間で比較検討した。 その結果、TGF-β1はCLD群では日齢2より上昇傾向を示し日齢7まで高値が持続したが、非CLD群では上昇しなかった。IL-8はCLD群で日齢1より高値を示し日齢7まで高値が持続したが非CLD群では明らかな上昇を認めなかった。 急性期の肺組織障害に対する修復機転は出生早期より働いている可能性が示唆されるが、気管内吸引液中IL-8、TGF-β1が各々日齢1および2より上昇傾向を示さなかった症例ではCLD発症を認めなかった。 今後、胸部単純X線写真、胸部CTなどの形態的変化および肺機能検査などの機能変化を合わせて検討していく予定である。
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