2001 Fiscal Year Annual Research Report
Pro-GRPはPNETfamilyの診断的および予後的腫瘍マーカーとなりうるか
Project/Area Number |
12770410
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
上田 耕一郎 久留米大学, 医学部, 助手 (90289439)
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Keywords | Pro-GRP / PNET / 腫瘍マーカー / 腫瘍組織特異的発現 |
Research Abstract |
(目的)PNETに対するpro-GRPの腫瘍マーカーとしての検討 (方法)1.凍結保存腫瘍組織よりmRNAの抽出後、RT-PCR、ノーザンブロッド法によるGRP発現の確認。2.免疫組織染色による腫瘍組織でのPro-GRP発現の検討。 3.PNET症例と正常例、他の腫瘍症例における血清pro-GRP値の測定。 (結果)1.PNET3例すべてにおいてGRPの発現を認めたが、ノーザンブロッド法においては発現レベルは低かった。これに対して神経芽腫、横紋筋肉腫各1例においてはRT-PCR、ノーザンブロッド法ともにGRPの発現は認めなかった。2.Pro-GRP抗体を用いて行った免疫染色ではPNETで陽性所見を認めたが、肝芽腫、神経芽腫、横紋筋肉腫では染色はみとめられなかった。3.血清pro-GRP値;健常小児(1歳〜12歳、中央値6歳)5.6-38.5pg/ml(中央値18.2pg/ml、n=14)。神経芽腫11.7-117.2pg/ml(中央値26.1pg/ml, n=8)。白血病12.7-86.5pg/ml(中央値17.8pg/ml, n=8)。これに対しPNET36.2-451.8pg/ml(中央値58.5pg/ml)であり4/6例が初診時カットオフ値を越えていた。治療経過中CRとなった3例中2例はpro-GRP値が成人カットオフ値以下となった。1例は画像上腫瘍の進行がないにもかかわらずpro-GRP値の上昇が認められた。 (考察)今回、実際に腫瘍組織特異的Pro-GRP発現が確認できた。また血清Pro-GRPは小児においてもほぼ成人値と同様の分布を示すことがわかった。これらのことより小児のPNETにおいて血清Pro-GRPは腫瘍マーカ-として有用と考えられるが、腎機能障害等の影響で上昇を認める例もあり、画像所見、腎機能と合わせて評価することが重要と考えられた。
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