2000 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー性皮膚疾患におけるEcalectin/galectin-9の発現と動態
Project/Area Number |
12770445
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Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
吉田 智子 香川医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (10253270)
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Keywords | ecalectin / galectin-9 / 皮膚疾患 / アトピー性皮膚炎 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
T細胞株STO-2由来の好酸球遊走因子(Ecalectin)は,これまでの遊走性サイトカインとは異なる物質で,323個のアミノ酸からなるβ-galactoside結合性を示すアニマルレクチン,galectin familyの一つgalectin-9であることが明らかにされた。Ecalectin/galectin-9はリンパ節や脾臓,胸腺などの免疫担当組織に多く発現している。予備実験において好酸球性肺炎や木村氏病での病変局所では免疫組織染色によりEcalectin/galectin-9が陽性に染まる細胞が認められることが明らかにされてきた。しかしながら,皮膚局所でのその発現は明らかではない。ポリクローナル抗Ecalectin/galectin-9抗体を利用して正常皮膚およびアトピー性皮膚炎における発現を免疫組織化学染色にて検討した。正常皮膚では,表皮全層にわたって均一にEcalectin/galectin-9の発現が観察された。毛包・脂腺でもその発現が認められた。正常皮膚の真皮では明らかに染まる細胞はみられなかった。また,年齢,性別や皮膚の場所による差は認められなかった。アトピー性皮膚炎の表皮細胞でもEcalectin/galectin-9の発現がみられたが,表皮の下層で強く発現するもの,中層で強く発現するものといった不均一性が認められた。真皮浅層の細胞で発現しているものもみられた。ただし,真皮の好酸球の浸潤とは一致していなかった。Ecalectin/galectin-9は表皮細胞の全層で発現しているが,表皮の肥厚,細胞間浮腫を示すアトピー性皮膚炎では,表皮細胞の増殖や接着と何らかの関連が示唆された。真皮浅層で発現している細胞については今後の検討を要する。
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