2000 Fiscal Year Annual Research Report
メラノサイトの増殖・分化におけるWntシグナル伝達の解析
Project/Area Number |
12770453
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
戸田 淳 自治医科大学, 医学部, 助手 (30276117)
|
Keywords | 悪性黒色腫 / 転移能 / 運動能 / LEF-1 / Wnt / beta-catenin |
Research Abstract |
Wnt/beta-cateninシグナル伝達経路は、体軸の形成や中枢神経系の発達,四肢の形成など発生や形態形成に重要な役割を果たす一方で、転写制御因子TCF/LEFを介して標的遺伝子を活性化し、大腸癌や悪性黒色腫(メラノーマ)の発症に関係することが明らかにされている。メラノサイトの運動能と相関するTCF/LEFの存在を検索する目的で、運動能と浸潤能がすでに評価された7種類のメラノーマ細胞株(低運動性:3種類、高運動性:4種類)、及び正常皮膚メラノサイトを用いて、LEF/TCF family(LEF-1,TCF-1,TCF-3,TCF-4)の遺伝子発現をRT-PCR法により検索した結果,細胞運動能が顕著な高運動性メラノーマ細胞4株すべてに選択的なLEF-1の高発現を見出した。低運動性株と比較して、これら高運動性メラノーマ細胞株ではluciferase reporter assayによりTCF結合配列からの有意な転写活性が見いだされた。さらに、この高運動性細胞株における転写活性化が、LEF-1を介したものであるかを検討する目的で、LEF-1 cDNAのN末端を欠失したdominant negative変異体を作成し、これを高運動性細胞株に強制発現した結果、TCF結合配列からの転写活性は抑制された。さらに、高運動能を有するメラノーマ細胞株ではbeta-cateninにおけるゲノムDNAの構造的変異は検出されなかったものの、核内への蓄積が観察され、LEF-1を介したWnt/b-cateninシグナルの構成的活性化がメラノーマ細胞における転移能・高運動能と相関することが示唆された。
|
Research Products
(2 results)