2000 Fiscal Year Annual Research Report
単純ヘルペスウイルス2型感染による脊髄炎の発症機構について
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12770462
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
峰咲 幸哲 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (40229779)
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Keywords | 単純ヘルペスウイルス2型 / 脊髄炎 |
Research Abstract |
1.性器ヘルペス患者(Elsberg症候群患者を含む)より分離培養した単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)10株(ACV感受性株およびACV耐性株)を用いて,BALB/cマウス(6週齢メス)の陰部に接種する群および足蹠に接種する群に分けて,各々10匹ずつに1接種した.そして接種部位の臨床症状,後肢麻痺の有無,膀胱直腸障害について3週間連日経過を観察した. 結果:陰部接種群では約7割のマウスにおて,第7病日頃より粘膜のびらんや膀胱直腸障害が出現し,第8〜12病日に死亡した.足蹠接種群では約4割のマウスにおいて,接種部位の腫脹や接種側の片麻痺がみられたが,死亡率は1割程度であった.いずれの接種群においても,ACV耐性株と感受性株の症状の重症度や発症頻度に明らかな差はないように思われた. 2.上記10株のうち,Elsberg症候群を発症した株1株とACV感受性株4株をそれぞれBALB/cマウス(6週齢メス)10匹の陰部に接種(1x10^5PFU)して15日間連日経過を観察した.なお,接種直後に1匹,第5病日に2匹,第8〜10病日の時点で膀胱直腸障害や後肢麻痺の高度だったマウス,第15病日まで症状のみられなかった残りのマウスを解剖し,病理組織学的および抗HSV-2抗体を用いた免疫組織化学的検討を行った. 結果:第5病日では接種部位にびらんおよび炎症性細胞浸潤がみら,同部位に抗HSV-2抗体が陽性であった.第8〜10病日では下部消化管粘膜下での神経叢での抗HSV-2抗体が陽性で.さらに下部脊髄および後根神経節でも陽性所見が得られた.一部のマウスでは上部脊髄および延髄にも同様の所見が認められた.臨床症状のみられなかったマウスの第15病日における解剖結果では,明らかな病理組織あるいは免疫組織化学的変化はみられなかった. 1.については今後,統計学的処理を加えてさらに詳細に検討していく予定である.2.については組織学的に再検討をしたうえで今後,接種直後から脊髄炎発症までの約1週間のウイルスの局在をさらに詳細に検討するために,再実験も予定している.
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