2000 Fiscal Year Annual Research Report
flow assayでの好酸球、CLAリンパ球に及ぼすサイトカインの影響(成人アトピー性皮膚炎患者を対象として)
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12770469
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
松倉 正治 近畿大学, 医学部, 講師 (00298902)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 好酸球 / 接着分子 / 抗アレルギー剤 / サイトカイン / Hyper IgE syndrome |
Research Abstract |
近年、アトピー性皮膚炎(AD)や気管支喘息などのアレルギー性疾患において、好酸球は重要なエフェクター細胞として知られている。今回ADと健常人との好酸球の違いを調べるため、好酸球接着分子と好酸球遊走能の違いについて検討した。結果、健常人に比較しADでは、好酸球上のCD11b発現が亢進しており、抗アレルギー薬の一つである塩酸エピナスチン投与により、CD11b発現は減少した。また塩酸エピナスチン投与により、Eotaxinに対する好酸球遊走能抑制が認められた。つまりCD11b発現を抑制することによりこの好酸球遊走抑制が起こるものと考えられた。このことから、好酸球の遊走に関して文献的にはVLA-4が関与するとされているが、CD11bも重要な接着分子であり、またアレルギー治療の臨床の場で使用されている抗アレルギー薬の好酸球に対する効果も明らかとなった。 また外来診察で、非常に稀な疾患である高IgE症候群(Job's syndrome)(HIE)が受診し、血液を得ることができたので、ADとHIEとの違いを明らかにするため、末梢血リンパ球のサイトカイン発現を比較検討した。結果、IL-4のmRNA発現についてはAD,Normal,HIEの順に低くなり、γ-IFNのmRNA発現についてはAD,Normal,HIEの順に高くなった。文献的に、HIEではγ-IFN産生不全がありγ一IFNは低値とされているが、今回我々が行った結果とは逆の結果になった。このことからHIEの病態が明らかとなり、本来Th1とTh2のシフティングがあり、普段HIEはTh1に傾いており、病態が悪化するとTh2にシフトすることが示唆された。しかしADとの違いは臨床的に皮疹の違いしかなく、今後HIEの定義、診断基準を明らかにしていく必要があると考えられる。 今後好酸球に関して、いかなる機構により血管内でのrolling,tetheringが起こるのかをflow chamberを用いて解明し、ADの治療に役立てたい。
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