2000 Fiscal Year Annual Research Report
肺腺癌初期像・前癌病変の増殖モデルのコンピューターシュミレーションに関する研究
Project/Area Number |
12770479
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
古泉 直也 新潟大学, 医学部, 助手 (40272843)
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Keywords | 肺腺癌 / 増殖様式 / 自然史 / 数理学的モデル |
Research Abstract |
CT検診等で確認されている末梢型肺腺癌の初期像ないし前癌病変の増殖は比較的緩やかであり,倍加時間はきわめて長い.また肺腺癌初期像・前癌病変の増殖様式は多段階発癌モデルで説明されており,増殖の遅いクローンの腫瘍内に増殖の早いクローンの腫瘍が発生し,やがて置き換えると説明されている.しかし,多段階発癌の段階が複数であることを想定した場合,初期の段階で段階間の増殖速度が著しくことならない限り,均一な腫瘍細胞からなるにもかかわらずきわめて緩慢な発育しか呈さない初期肺腺癌や前癌病変では説明困難である.肺腺癌の初期像が遡及的に検出される機会が増加しており、その増殖様式を多段階発癌・アポトーシス等の細胞死がどのように関わっているかを,実際の得られている肺腺癌の初期像・前癌病変のCT画像の遡及的経過と対比検討した. 対象は新潟大学医学部放射線部で,6ケ月以上の高分解能CT画像の遡及的経過観察可能な切除肺腺癌症例14例(野口らの病理組織分類での内訳はTyPeA 3例,TypeC 11例)とした。画像上の変化・増大速度を検討した.14症例中,増大11例,不変2例,縮小1例で,濃度上昇は6例,収束性変化増強は7例でみられ,増大症例での倍化時間は484〜2263日であった.dV/dt=kVの増大モデルでは法線方向へ腫瘍細胞が移動することを意味する式であり,計算される倍化時間も長過ぎると考えられた。腫瘍進展様式は辺縁部ではdr/dt=一定のモデル式が考えられたが,内部では腫瘍濃度を一定とするかしないかで式がしぼりきれなかった。内部濃度について実際の画像経過と更に対比検討する予定である。
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