2001 Fiscal Year Annual Research Report
肺線癌初期像・前癌病変の増殖モデルのコンピューターシュミレーションに関する研究
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12770479
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
古泉 直也 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究所, 助手 (40272843)
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Keywords | 肺腺癌 / 増殖様式 / 自然史 / 数理学的モデル / 異型腺腫様過形成 |
Research Abstract |
CT検診等で確認されている末梢型肺腺癌の初期像ないし前癌病変の増殖は比較的緩やかであり,倍加時間はきわめて長く,多段階発癌の複数の段階や均一な腫瘍細胞からなることは説明困難である.肺腺癌の初期像の増殖モデルを作成し,実際の得られている肺腺癌の初期像・前癌病変のCT画像と対比検討した. dV/dt=kVの増大モデルでは法線方向へ腫瘍細胞が移動することを意味する式であり,計算される倍化時間も長過ぎると考えられ,内部での腫瘍細胞間(同種間および異種間を含む)の競合・置換や周囲正常細胞との競合・拡大や上皮としての移動の説明に適し,非典型的進展例にも応用可能な増大モデルとしてLotka-Volterra競合方程式+Fisher拡散方程式を用い検討した. 6月以上の高分解能CT画像の遡及的経過観察可能な切除肺腺癌病変18病変(16症例)観察期間188(8160)161497日(平均629日)術前最大径10(8160)1635mm(平均21mm)について計算をおこなった。辺縁拡大の進行波の速度(半径の拡大速度)は-12(8160)163mm/年(平均1mm/年)であり、推測される腫瘍発生からの期間は初回時より2(8160)1626年以前(平均11年以前)と推測された。さらに,20mm以下の高分解能CT画像との対比可能なすりガラス濃度病変169病変中,前癌病変(異型腺腫様過形成)42病変・肺腺癌105病変でsize ranking法を用いて,拡大速度を推計した.6mm以上の群を前述の半径増大速度とすると,5mm以下の群では0.24mm/年の増大速度であるか,もしくは5mm以下の群が6mm以上になるのに68%が途中で脱落するまたはもともと腫瘍性病変ではない計算となる.このことから5mm以下のすりガラス濃度病変は,高分解能CTの誤差から考え増大を観測するためには4年以上の経過観察が必要なことが示唆された.さらに小さなすりガラス濃度病変の経過の情報が必要と考えられた.
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