2001 Fiscal Year Annual Research Report
新規脳血液関門透過性放射性ヌクレオチド誘導体による脳グリア細胞増殖の画像化
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12770482
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
脇 厚生 福井医科大学, 高エネルギー医学研究センター, 助手 (00313776)
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Keywords | チミジン / PET / エステル / ウラシル / Br-76 / 放射性医薬品 |
Research Abstract |
本研究では、多くの脳疾患に伴う、グリア細胞の増殖をターゲットとした新規放射性薬品を開発し、核医学的手法を用いた脳疾患診断法を確立する事を目的とした。脳血液関門を容易に通過しうる新規放射性チミジン誘導体としてデザイン、合成した、[^<76>Br]1-(2-FLUORO-2-DEOXY-3, 5-O-DIBENZOYL-beta-D-ARABINOFURANOSYL)-5-BROMOURACIL([^<76>Br]FBAU3', 5'-DIBENZOATE)の性能評価を行ったのでその要点をまとめる。 1.ラットでは血漿中で半減期が30分程度の速度でエステル加水分解が生じていたが、ヒトでは60分後も90%以上が加水分解されなかった。 2.ラット、ヒトのどちらの肝細胞でも非常に急速に加水分解された。 3.ラットにおける脳移行性はアミノ酸と同程度(0.3)の高い値を示した。 4.正常アダルトラットの体内動態実験から、母体化合物FBAUと比べ (1)小腸、脾臓、骨髄など増殖の活発な臓器への非常に高い集積 (2)脳移行性試験時と同等の高い脳移行性 (3)脳からの緩やかな拡散による放射能低下(半減期60分) これらのことから、エステル化により高い脳移行性が獲得されただけでなく、関門を持たない臓器に対しても、核酸輸送体を介さないことによる組織移行性上昇が観察された。今後、疾患時のグリア細胞増殖描写能の確認とともに、核酸輸送体を介さない腫瘍増殖能診断トレーサーとしての性質の詳細な検討が期待される。
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