2001 Fiscal Year Annual Research Report
光を用いた舌癌組織内照射の治療効果の予測及び晩期合併症の早期診断に関する研究
Project/Area Number |
12770485
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 一徳 浜松医科大学, 医学部, 助手 (30281059)
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Keywords | 舌癌 / 時間分解分光測定法 / 光吸収係数 / 光散乱係数 |
Research Abstract |
1.時間分解分光測定装置の調整・測定方法の改良を平成12年度に引き続き施行した。 舌癌発生部位にプローブを密着させた際の疼痛を軽減させるため,プローブ等の材質・形状について再検討を行った。 2.舌癌および正常舌の光学的情報を得るために,時間分解分光測定装置を用いてin vivoにて光学的パラメータを測定した。 対象:舌癌に対する組織内照射前の新規治療症例4例,照射後局所制御が得られ6ヵ月以上が経過した既治療症例2例,正常ボランティア5例において光学的パラメータを測定した。 方法:測定プローブを舌側縁に密着させ,光ファイバー間距離25mmにて反射光を測定した。時間分解分光測定測定装置により得られた時間分解曲線を理論式にフィッテングさせ,750nmと808nmにおける光吸収係数や光散乱係数等のパラメータを算出することを試みた。 結果:新規治療症例では,波長750nmでの吸収係数は0.111〜0.134/cm(中央値0.126/cm),波長808nmでの吸収係数は0.109〜0.138/cm(中央値0.130/cm)であり,既治療症例および正常例に比べて高い傾向にあった。散乱係数は波長750nmおよび808nmで各々7.83〜9.72/cm,7.70〜10.26/cmの値であったが,理論式へのフィッティングが不完全であった。新規治療症例の全例に局所制御が得られたため,局所制御の有無による光学的性質の差異についての検討はできなかった。 結論:舌癌の吸収係数は,正常組織に比べ高い傾向にあることが明らかとなった。症例数が少なく,放射線治療効果の予測因子になり得るかについては検討不可能であったが,組織内照射前の新規症例と治療後のCR症例・正常例との間には吸収係数の差異が認められ,治療効果判定に有用である可能性が示唆された。今後は症例を蓄積し,放射線治療効果の予測因子となり得るか検討するつもりである。
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