2000 Fiscal Year Annual Research Report
シナップス蛋白複合体形成-分離過程の神経伝達物質遊離機構に関する研究:精神・神経疾患に対する新たな薬物治療開発の試み
Project/Area Number |
12770515
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
和田 一丸 弘前大学, 医学部・附属病院, 講師 (60241486)
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Keywords | ドーパミン / セロトニン / グルタミン酸 / シナプス蛋白 / SNARE蛋白 / synprint蛋白 / 開口分泌 / 蛋白相互作用 |
Research Abstract |
情動安定化薬・抗てんかん薬として臨床で広く使用されている、カルバマゼピンの作用機序解明を行う過程で、カルバマゼピンはモノアミンの基礎遊離を増加するにも関わらず、脱分極誘発性モノアミン・グルタミン酸遊離を抑制する相反する効果を明らかにした。本年度はこのカルバマゼピンの神経伝達物質遊離に対する効果の発現機序解明を試みるために、神経伝達物質遊離機構の検討を実施した。この実験から、神経伝達物質遊離を規定する開口分泌機構において、少なくとも2種類の蛋白間相互作用を介した機能的複合体の存在が明らかとなった。C型蛋白リン酸化酵素活性を介した、N-型カルシウムイオンチャネル・syntaxinの複合体分離-形成過程が基礎遊離を規定する主要機構であった。一方、脱分極性神経伝達物質遊離は、A型蛋白リン酸化酵素活性を介した、P-型カルシウムイオンチャネル・synaptobrevinの複合体分離-形成過程が主要規定機構であった。本研究結果は、既存の神経精神疾患に対する治療薬の多くが、各種受容体の機能を調整することで、効果を発現することから、各種受容体機能を介した神経伝達物質遊離に対する二次的調整機構の機序を実証したものであり、今後、神経伝達物質遊離を主要作用機序とした、新たな開発のコンセプトを提唱するものと考えられる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Wada K, et al.: "Sociomedical aspects of epileptic patients : Their employment and marital status."Psychiatr Clin Neurosci. 55・. (2001)
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[Publications] Zhu G, et al: "Dysfunction of M-channel enhances propagation of neuronal excitability in rat hippocampus monitored by multielectroda dish and microdialysis system."Neurosci Lett. 294・. 53-57 (2000)
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[Publications] Mizuno K, et al: "Effects of carbamazepine on acetylcholine release and metabolism."Epilepsy Res. 40・2-3. 187-195 (2000)
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[Publications] Hirose S, et al.: "A novel mutation of KCNQ (c.925→C) in a Japanese family with benign familial neonatal convulsions."Ann Neurol. 47・6. 822-826 (2000)
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[Publications] 兼子直 他: "てんかん"綜合臨床. 49・. 1641-1642 (2000)
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[Publications] 岡田元宏 他: "Dopamine前駆物質L-DOPAの神経伝達系機能修飾作用の検討"精神薬療基金研究年報. 32・. 228-235 (2000)
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[Publications] 兼子直,和田一丸: "臨床精神医学講座,S11巻,精神疾患と遺伝"松下正明 総編集,中山書店,東京,p333-341. (2000)