2000 Fiscal Year Annual Research Report
選択的セロトニン再取り込み阻害薬に対する治療反応性の薬理遺伝的機序
Project/Area Number |
12770519
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
奥山 直行 山形大学, 医学部, 助手 (50282215)
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Keywords | 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 / 5-HTトランスポーター / Fluvoxamine / 治療反応性 / 薬理遺伝 |
Research Abstract |
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor:SSRI)の作用部位であり、5-HTを神経終末内に再取込みする5-HTトランスポーター(5-HTT)遺伝子の第2イントロンに存在する多型(variable number tandem repeat:VNTR)とSSRIであるfluvoxamineの抗うつ効果との関連を調査した。身体的に健康で、DSM-IVの大うつ病エピソードの診断基準を満たし、かつ治療前のMontgomery-Asberg Depression Rating Scale(MADRS)スコアが21点以上の単極性うつ病患者46例を対象とし、fluvoxamine 100mg/dayを就床時に4週間投与した。睡眠薬としてのbrotizolam以外は併用薬は使用しなかった。1週間ごとにうつ病症状をMADRSで評価し、4週目のMADRSスコア10点以下のものを反応者、21点以上のものを非反応者と定義した。fluvoxamine治療中は1週間ごとの午前、服薬12時間後にfluvoxamine血漿濃度測定用に10mlの採血を行い、fluvoxamine血漿濃度測定はSpigsetら(1995)の高速液体クロマトグラフィ刧法で行った。VNTR多型の決定は白血球由来のgenomic DNAをGuanidinium Isothiocyanate法にて抽出し、PCRを行い、得られたPCR産物をethidium bromideで染色した1% agarose gel上で電気泳動し、UV卓上照射装置にてバンドの長さを確認して行った。 その結果、Stin10/Stin12型患者とStin12/Stin12型患者において抑うつ症状の経時変化に有意差は認められなかった。また非反応者(14人)と反応者(32人)の2群に患者を分類した場合、各群における遺伝子型の分布に有意差を認めず、対立遺伝子頻度にも有意差は認められなかった。この結果、:VNTR多型はfluvoxamineの抗うつ効果に影響を与えない可能性が示唆された。
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