2001 Fiscal Year Annual Research Report
てんかん原性の獲得に果たす抗グルタミン酸受容体自己抗体の役割に関する研究
Project/Area Number |
12770523
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 勝昭 浜松医科大学, 医学部, 助手 (00285040)
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Keywords | GluR3 / 自己抗体 / Rasmussen脳炎 / キンドリング / ペンチレンテトラゾール / FK506 |
Research Abstract |
本研究の目標は,GluR3蛋白に対する自己抗体を実験動物の脳内に導入してRasmussen脳炎様の病態を再現することにある。平成13年度は,前年度にラットを用いて行った検討を,マウスを用いて継続した。また,てんかん源性の獲得に果たす免疫系の役割をさらに明らかにする目的で,免疫抑制剤であるFK506のペンチレンテトラゾール・キンドリングに与える影響を検討した。 まず,実験1として,マウスにGluR3蛋白を接種して抗GluR3抗体を産生させ,臨床症状を観察するとともに,血清を間歇的に採取して免疫グロブリン分画を精製し,in vitroでのラット大脳皮質培養細胞に対する細胞傷害作用の有無を検討した。その結果,マウスにGluR3蛋白を接種しても,ウサギに見られたようなけいれん発作や麻痺などのRasmussen脳炎に類似の神経学的症状を示すものはなかった。しかし,GluR3蛋白に対して免疫反応性を示す抗体を有するマウスが得られ,これらのマウスからGluR3蛋白を認識するモノクロナール抗体を得た。得られたモノクロナール抗体のうち,in vitroにおいてラット大脳皮質培養細胞に対し有意な細胞傷害作用を示すクローンが得られた。その作用機序については,共同研究者であるJames O McNamara教授(Duke University,米国)が,現在解析中である。 次に,実験2として,ラットにペンチレンテトラゾール(30mg/kg)を間欠・長期投与してキンドリングを作成し,免疫抑制剤FK506を0.2mg/kg,1.0mg/kg,あるいは5.0mg/kgの用量で前処置した動物とそうでないものとで,キンドリングの形成速度を比較した。その結果,FK506を前処置すると,対照群に比較して,キンドリングの形成速度が有意に促進された。FK506はカルシニューリンの特異的阻害剤であることから,ペンチレンテトラゾール・キンドリングにおけるてんかん原性の獲得過程には、カルシニューリンは抑制的に関与していることが示唆された。この成果については,Epilepsy Research誌に公表した。
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Research Products
(1 results)