2000 Fiscal Year Annual Research Report
気分障害・概日リズム睡眠障害における分子生物学的手法を用いた時間遺伝子の検討
Project/Area Number |
12770524
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
尾関 祐二 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (90303768)
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Keywords | 睡眠障害 / 気分障害 / hper1 / 睡眠習慣 / 概日リズム / 遺伝子 |
Research Abstract |
本年度は睡眠障害患者(睡眠相後退症候群:DSPS、非24時間概日リズム睡眠障害:N-24)及び双極性障害患者を対象に検体の収集を行った。DSPS患者は22名、N-24患者は5名、双極性障害患者は40名の検体を得ることができた。また、健常被験者に関しても134名の検体収集を行った。また同時に朝型-夜型質問紙表を用いて、健常被験者の睡眠習慣に関しての調査を行った。 遺伝子解析に関してはまず、健常被験者1名より末梢血を採取し、単核球のみを分離した後、mRNAを抽出、RT-PCR法にてcDNAの作成を行った。こうして得られたcDNA中にhper1遺伝子が存在することが確認されたため、まず、患者10名を対象として、同様の方法でcDNAを作成した後、全長の遺伝子配列を検討した。5箇所の遺伝子多型が認められたが(a826a/c3名/10名a1828g9/10t2434t/c5/10 g2548g/a6/10 c3071c/g7/10)、そのうち4つに関してはアミノ酸の置換は生じないものであった。残り一箇所の遺伝子多型に関してはアミノ酸の置換が生じるため(c3071c/g,Pro→Ala)、この遺伝子多型はhper1蛋白の機能発現に影響が生じる可能性が考えられた。 次に全患者及び健常被験者のゲノムを対象として、上記アミノ酸置換が生じる遺伝子多型の解析を行った。現在患者すべての解析は終了している。健常被験者に関しては現在進行中であり、20名の解析が終了している。健常者を対象として施行した朝型-夜型尺度と遺伝子多型との関連についても現在検討中である。20名を解析した時点では遺伝子多型と睡眠習慣の間に関連が認められているが、まだ結論には至っていない。 睡眠障害の研究成果に関しては平成13年5月第97回日本精神神経学会にて、感情障害の研究成果に関しては平成13年4月に第23回日本生物学学的精神医学会にて発表の予定となっており、その後学術雑誌に投稿予定である。
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