2000 Fiscal Year Annual Research Report
前頭前野病変ラットにおける側坐核ドパミン神経系のストレス反応性と行動特性の変化-精神分裂病の新しい病態仮説を検証する研究-
Project/Area Number |
12770530
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
兼行 浩史 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (30263784)
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Keywords | 前頭前野 / 側坐核 / ドパミン / ストレス / イボテン酸 |
Research Abstract |
本研究の目的は、『前頭前野病変が側坐核DA神経系のストレス反応性に及ぼす影響』を多面的に探究することによって、分裂病における前頭前野の障害と精神病症状の発症に関するストレス脆弱性を結びつけた新しい病態仮説へ検証を加えることにある。 【対象】体重280〜300g(8週齢)のWistar系雄性ラット 【皮質病変形成】麻酔下のラットを脳定位装置に固定し、イボテン酸溶液(10μg/μl)を左右1カ所0.5μlずつ局所注入した。薬液注入の14日後に行う本実験の後、脳切片標本を作成し、神経病理学的に病変の位置と限局性について確認した。 【行動観察】自発およびストレス負荷後の移所運動量を解析装置(scanet MV-10)を用いて測定した。 【微小透析(microdialysis)】病変または偽手術から12日後のラットを、麻酔下で脳定位装置に固定し、I字型透析プローブを右側坐核外殻部に植え込んだ。2日後、リンゲル液を3μl/minで灌流し、回収液中のドパミン濃度を測定した。灌流開始から2時間以降に、10分間のストレスを負荷した。また、別の病変を作らないラットにて、2本目の透析プローブを腹側被蓋野(VTA)に埋め込み、ストレス負荷と同時にVTAのプローブよりグルタミン酸受容体遮断薬を局所灌流し、側坐核およびVTAの細胞外液DA濃度の経時的変化を観察した。 【結果】内側前頭前野をイボテン酸で破壊したラットは、側坐核DA神経系のストレス反応性が選択的に減弱することを確認しつつある。急性ストレス反応では前頭前野の固有細胞からVTAへのグルタミン酸神経系の下行性投射が重要な役割を果たすことが示唆される。
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