2000 Fiscal Year Annual Research Report
ピック嗜銀球および関連構造物の消長過程の神経病理学的検討
Project/Area Number |
12770540
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
小田原 俊成 横浜市立大学, 医学部・附属病院, 講師 (00244426)
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Keywords | Pick's disease / Pick body / hippocampus / tau / stratum oriens / axon / non-perforating fibers |
Research Abstract |
今年度はピック病(PD)脳の海馬領域に出現するタウ陽性関連構造物(TPS)の出現様式に注目して検討を行った。 (方法)ピック嗜銀球(PB)を有するPD3症例を剖検後、大脳半球半側を4%PFAで固定。海馬を含む側頭葉をパラフィン包埋し、7μm厚切片を作製後、一般染色のほか、抗タウ抗体(human tau、AT8、Alz50)免疫染色を施した。免疫染色にはVectastain社のABCキットを使用しDABで発色した。また、残り半側の大脳半球から新鮮凍結切片を作製した。PDとの比較のため、アルツハイマー型痴呆(ATD)脳にも同様の染色を行い検討した。 (結果)海馬全体、特に歯状回に多数のPBが全ての抗タウ抗本で強染されたほか、二種類の抗タウ抗体(AT8、Alz50)はCA4領域、分子層に点状ないし数珠状の無数のTPSを強く認識した。また、AT8およびAlz50は海馬支脚からCA2〜3領域にかけてstratum oriens(SO)に沿って平行に走行する長い線維を認識した。AT8を用いた免疫電顕による検討では、この線維は髄鞘をもたず、縦列に配した径約30〜35nmの管状構造物からなり、axon terminalsに蓄積したmicrotubulesに結合したリン酸化タウ蛋白をとらえた所見と考えられた。ATD例においては、この線維は認識されなかった。 (考察)今回の所見は、海馬歯状回およびCA4領域に出現するTPSは歯状回顆粒細胞のaxon terminalsおよびpresynapsesを認識している可能性と、PB脳において海馬支脚を貫通せずSOに沿って走行しCA2〜3領域に終わるperforant pathwayの非貫通線維における軸索流の障害の存在が示唆された。
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