2001 Fiscal Year Annual Research Report
セロトニン神経系の他の神経系に対する調節機構に関する研究
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12770547
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
勝 久寿 東京慈恵会医科大学, 医学部・精神医学, 助手 (30307425)
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Keywords | セロトニン / アセチルコリン / 内側前頭前野 / MKC-242 / 5-HT_1A受容体 / 縫線核 / 脳透析法 / ラット |
Research Abstract |
平成13年度は、平成12年度に得られた成果を日本神経精神薬理学雑誌に発表した。また、平成12年度の研究によって、8-OH-DPATの背側縫線核への局所投与が内側前頭前野(mPFC)のアセチルコリン(Ach)濃度を用量依存的に上昇させることが示され、この現象は、前シナプス性セロトニン(5-HT)_1A受容体を介したものであると示唆されたことから、前シナプス性5-HT_1A自己受容体刺激による皮質Ach遊離亢進作用を検討した。縫線核に存在する前シナプス性5-HT_1A自己受容体にはフルアゴニスト、5-HT神経系以外に存在する後シナプス性5-HT_1A受容体にはパーシャルアゴニストとして作用する選択的5-HT_1A受容体部分作動薬MKC-242の全身投与を行い、Ach神経系への影響を脳透析法により自由行動下ラットのmPFCにおいて観察した。MKC-242(0.1mg/kg,0.3mg/kg,0.9mg/kg)、または対照として溶媒である0.5%CMCのいずれかを腹腔内投与し、mPFCにおける細胞外Ach濃度の変化を経時的に測定した。この結果、0.1mg/kg投与群では、対照群と比較し、Ach濃度の有意な変化は認められなかった。0.3mg/kg投与群では、Ach濃度の上昇が維持され、最高160%までの上昇を示し、その上昇は、40分値から80分値において対照群と比較して有意なものであった。0.9mg/kg投与群においても、対照群と比較して、60分値でAch濃度の有意な上昇を示したが、0.3mg/kg投与群とは異なり、その上昇は持続せず、投与80分後には対照群と同程度となった。前シナプス性5-HT_1A自己受容体に特異的に作用するとされる用量範囲のMKC-242により皮質Ach遊離が促進されたことから、前シナプス性5-HT_1A自己受容体刺激が皮質Ach遊離を促進させることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] N. Tsuno: "Spatial organization of EEG activity from alertness to sleep stage2 in old and younger subjects"Journal of Sleep Research. 11-1. 43-51 (2002)
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[Publications] N. Tsuno: "Deterioration in the functional connectivity between cerebrum and reticular activating system in VaD"Int. Psychogeriatrics. 13-S2. 148S (2001)
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[Publications] N. Tsuno: "Functional disconnectivity and instability of the distribution of electrically active neurons in vascular dementia"Neurobiol. Aging. 21. S149-s149 (2000)