2000 Fiscal Year Annual Research Report
うつ病の再発予防を目的とした新しい精神療法の意義-UCLAとの共同研究から-
Project/Area Number |
12770549
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
高梨 葉子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90266643)
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Keywords | うつ病 / 精神療法 / 認知行動療法 |
Research Abstract |
(1)対象:外来うつ病患者のうち,寛解期で維持療法中の患者を対象として,このたび導入した新しい精神療法を計4クール施行した。それと同時に現在までこの療法を受けた患者群に対して,追跡調査を引き続き行った。また,一方で,対照群として,外来うつ病患者のうち,この精神療法に導入しなかった患者群を対象に,抑うつ状態の評価を随時行っていった。 (2)方法:スクリーニングで得られた患者群を対象に講習(精神療法)を行った。また,一方で,既にこの講習を受けた患者群のうち,外来通院中の患者に対しては定期的(1回/1〜2週)に面接を行い,随時抑うつ状態を評価していった。 (3)使用教材:患者配布用のテキスト作成と,患者の提出したホームワークを記録として複製した。また,自律訓練方法の内容をコピーしたオーディオテープの作成,配布も行った。 (4)治療効果評価方法:4項目(1.Beck Depression Inventory,2.Hamilton Rating Scale of Depression,3.Somatic Check List,4.the Center for Epidemiologic Studies-depression)の評価尺度で,各対象群に対して抑うつ状態を検索中である。 (5)結果:統計学的有意差はまだ明らかではないが,講習を受けた患者群は対照群と比較して,うつ状態の再発率が低い傾向にある。また,うつ状態が再発した症例も,従来と比較して抑うつ状態の軽症化,短期間化の傾向が認められた。患者各々が学習・習得した技法を用いて,講習後でも自己治癒的取り組みがなされていたことが,定期的面接からも窺われた。講習で用いられている認知行動療法の有意性の統計学的立証が今後の課題である。
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