2000 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症の成因におけるマクロファージの役割の解明
Project/Area Number |
12770582
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松田 充浩 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (20314669)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / マクロファージ / 接着分子 / ICAM-1 |
Research Abstract |
研究の目的 糖尿病性腎症の成因にマクロファージがどのように関与しているかを解明する。 実験の概略 ICAM-1はマクロファージの組織への浸潤に強く関わり、M-CSFはマクロファージの分化、活性化に関わる重要な因子である。また糖尿病性腎症の発症進展にはマクロファージが強く関わると考えられている。本研究ではそれぞれのノックアウトマウスであるICAM-1 KO mouseとop/op mouseに糖尿病を惹起させ、糖尿病性腎症の発症進展に影響がみられるのかを検討した。 実験結果 糖尿病マウスモデルを作製すると発症後3ヶ月、6ヶ月において腎糸球体内にマクロファージの浸潤が認められたが、ICAM-1 KO mouse群ではコントロール群(正常マウスを糖尿病にした群)と比較して糸球体へのマクロファージの浸潤は有意に減少していた。また発症後3ヶ月、6ヶ月において、コントロール群では尿中アルブミン排泄量(早期糖尿病性腎症の指標)が増加したが、ICAM-1 KO mouse群では有意に低値であった。発症後6ヶ月では、腎重量、糸球体面積、メサンギウム基質の増加はICAM-1 KO mouse群ではコントロール群に比べて有意に軽減されていた。腎症早期に特徴的である糸球体過剰濾過(Ccr)もICAM-1 KO mouse群では軽度であった。以上結果より、糖尿病性腎症早期の病態形成とその後の進展にマクロファージが強く関与していることが示唆された。 今後の研究予定 糖尿病状態でのICAM-1 KO mouse群とコントロール群の腎臓において、マクロファージに関わるケモカインや接着分子、血管作動性物質などのタンパク及び遺伝子発現の変化を検討する。またop/op mouseでも同様の検討を試みる。
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