2000 Fiscal Year Annual Research Report
摘出脳幹脊髄標本にパッチクランプ法を適用した高血圧発症機序の研究
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12770589
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松浦 友一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40286480)
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Keywords | 延髄吻側腹外側野(RVLM) / 摘出脳幹-脊髄標本 / ホールセル・パッチクランプ法 / アンジオテンシンII / アンジオランシンIIタイプ1受容体拮抗薬 / 高血圧自然発症ラット(SHR) / 交感神経中枢 |
Research Abstract |
【目的】高血圧の発症機序の一つとして、交感神経中枢である延髄吻側腹外側(RVLM)ニューロンが重要である。私どもはWKYおよびSHRの摘出脳幹-脊髄標本に対しホールセル・パッチクランプ法を適用し、アンジオテンシンII(AII)およびAT1受容体拮抗薬(candesartan,Cand)に対するRVLMニューロンの反応の違いを検討した。【方法】1、生後4日目までのWKYとSHRの延髄から脊髄までの神経系を摘出し、パッチクランプにてRVLMニューロンの静止膜電位を細胞内記録した。灌流液に 2、AII(6μM),3、Cand(0.12μM)を加えた。4、AT2受容体拮抗薬(PD123319,60μM)で10分灌流後にCandを、5、Candで10分灌流後にAIIを加えた。【成績】RVLMニューロンの静止膜電位は、WKYで-53±2(M±SD)mV(n=33)、SHRでは-49±1mV(n=56)であった。発火頻度は、WKYで4.1±0.5/s、SHRでは5.1±0.3/sであった。AIIによるRVLMニューロンの脱分極は、WKYの1.8±0.8mV(n=8)に対し、SHRでは8.9±1.8mV(n=8)と有意であった。このSHRの脱分極はCand前投与により1.2±0.7mV(n=5)と著明に抑制された。Candのみの灌流によりSHRでは4.9±1.1mV(n=5)と有意な過分極を認めたが、この反応はPD前投与により消失した。【結論】SHRのRVLMニューロンの方がWKYに比べて静止膜電位が浅く、発火頻度が速かった。また、SHRの方がAIIに対してより高度の脱分極を認めた。SHRでCandにより過分極したことは、内因性AIIがRVLMニューロンのAT1受容体に結合し、脱分極、速い発火に寄与していることを示した。また、この過分極がPD前投与で消失したことは、AT2受容体を介する作用が関与していることを示唆した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 松浦友一: "高血圧自然発症ラットにおける延髄吻側腹外側の交感神経ニューロンの膜電位およびアンジオテンシンIIに対する反応性の検討"日本内分泌学会雑誌. 75. 437-437 (1999)
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[Publications] Tomokazu Matsuura: "Difference in rostral ventrolateral medulla neurons between Wistar-Kyoto and spontaneously hypertensive rat."Journal of Hypertension. Vol18(supp4). S240-S240 (2000)
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[Publications] 大島直紀: "延髄交感神経中枢ニューロンのパッチクランプを用いた解析"循環器科. vol46 no5. 453-460 (1999)
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[Publications] Naoki Oshima: "Three Types of Putative Presympathetic Neurons in the Rostral Ventrolateral Medulla Studied in the Rat Brainstem-Spinal Cord Preparation"Autonomic Neuroscience : Basic and Clinical. 84. 40-49 (2000)