2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12770605
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Research Institution | Kagawa Medical School |
Principal Investigator |
難波 正則 香川医科大学, 医学部, 助手 (90237636)
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Keywords | 新生児 / 低酸素性虚血性脳症 / 脳低温療法 / 非侵襲的脳温モニター / 脳血流 / 脳酸素消費量 / 脳グルコース消費量 / 脳内ヘモグロビン酸素飽和度 |
Research Abstract |
新生児への脳低温療法を行う際の基礎的データを得ることを目的として、非侵襲的な脳温モニター部位の検討と脳循環代謝に及ぼす影響について検討した。今年度は、新生仔豚を用い全身冷却法において脳低温療法を行い、近赤外分光法による脳内ヘモグロビン酸素飽和度の測定およびカラードマイクロスフェレによる脳血流、脳の酸素およびグルコース消費量を測定した。 1. 全身冷却法の生理的パラメータに及ぼす影響:血圧は冷却前後で有意な変動はなかったが心拍数は33℃以下で有意に低下した。 2. 非侵襲的な脳温モニター部位の検討:脳皮質に挿入して直接測定した脳皮質温と頭部に装着した深部体温計および鼻咽頭に挿入した鼻咽頭温が、各々r=0.995、r=0.994と良好な相関を示した。 3. 大脳全体の血流(CBF)、脳酸素消費量、脳グルコース消費量は冷却前で各々79.0士11.2ml/l00g/min、5.3±1.2ml02/l00g/min、48±13μmol/l00g/minであった。35℃では冷却前値の72%、70%、72%、32℃で41%、55%、50%に減少した。CBFがどの段階でも有意に減少するのに対して脳酸素消費量、脳グルコース消費量は35℃以下では有意な減少はなかった。 4. 近赤外分光法で測定した脳内ヘモグロビン酸素飽和度は低体温開始後一旦やや上昇し、その後35℃以下で有意に低下した。 以上の成績より、全身冷却による低体温中の非侵襲的脳温モニターとして、鼻腔内温、深部体温計が、また非侵襲的脳循環モニターとして近赤外分光法による脳内ヘモグロビン酸素飽和度の測定が有用であると考えられた。また安全に全身冷却法で低体温療法を行うには35℃までが適当ではないかと思われた。次年度は、選択的脳低温療法用のキャップを作成し、選択的頭部冷却法における基礎的検討を今年度と同様にして行う。
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